オートクラッツ~ショート~「この街には、横暴な情報屋がいるようです。」
はじめまして!ノブです。
まずは、こちらに、目を通していただきまして、ありがとうございます。
これも何かの縁ということで、ついでに、お話の方にもお付き合いください。
この先にあるのは、ジャンル「ファンタジー」「アクション」「コメディ」の小説です。
だがしかぁああし!!
この作品は、ジャンル「オートクラッツ」なのです。
露店街を駆け抜け、逃走する二人組みがいた。
無精髭を早した巨漢の男と、骸骨のようにやせ細った男だ。
彼らはかれこれ1時間近くも逃走していた。
なぜ、一時間近くも逃走しているのか。それは・・・
「こ、この街の連中は頭がおかしいのか!?」
巨漢の男が大量の汗をかきながら、焦躁めいた顔つきで必死に周りを見渡す。
二人は露店外から大通りに出て、正面の酒屋へ飛び込んだ。
酒場の中には、主人と思しき男と、客が数名。
客の一人が陽気に、駆け込んできた男たちに声をかける。
「よぉ噂のこそ泥さんよぉ。裏口はそっちだぜぇ。」
裏口を指示され、迷うことなく二人は裏口と思しき扉を走り抜ける。
扉を抜けた先は厨房。
厨房ではコックが一人、駆け込んできた二人がその姿に気づく前に声を張り上げて、後ろを指さす。
「厨房で暴れんなよ。出口はそっちだ。出たら右に表通り、左に暗黒通りだ。逃げるんなら暗黒通り!」
出口を抜け、路地を曲がり、暗黒通りへ走り抜ける。
細身の男が耐えられなくなって、巨漢の男に疑問をぶつける。
「店の奴ら、なんで俺達が逃げてるってわかるんだ!?」
どこからかタレコミでもあったのだろうか?
二人はつい一時間前に、街の銀行を襲い、大金を略奪してきたのだ。
「なのになんでこの街の連中は俺達に親切に!?」
巨漢の男が思考がまとまらないまま口にする。
「罠か!?総菜屋も、果物屋も、雑貨屋も酒場も!!
店の奴ら、余裕をこいて高みの見物してやがる!!あげくに親切に逃走経路まで教えるときた!!」
そもそも、露店のそばじぁあ、警察官まで見逃しやがった!!なぜだ??」
荒い息継ぎ、体力がそろそろ限界だった。一度緩んだ足並みは戻らない。
二人は一息つくため物陰に潜むことにした。今の今まで追いつかれてこそいないが、追っては、いるのだ。
「いやぁ、ついてないね~」
背後から声をかけられ、驚愕と冷や汗が、どっと吹き出る。
振り返った先には、青髪の男が立っていた。
鼻先までずらした小さな丸眼鏡を掛けなおしている。
「なんだ情報屋かよ」
巨漢の男は思わず安堵を浮かべる。
「情報料の報酬を取りに来たのか?悪いがそれは後にしてくれ。今追われてるんだよ。」
「・・・ああ。」
青髪の情報屋は、小馬鹿にしたような口元を緩める。
「言い忘れてたね。僕は情報屋で、そして、彼の仲間だ。」
嫌な予感がした。
「てめぇ!!裏切っ」
「おいっ、う、うしろ!!」
細身の男に、肩をひかれ、振り返った先には
「待たせたな,こそ泥」
二人を追っていた赤髪の男がそこに居た。
「あ,アーノルド!!?賞金稼ぎのアーノルド=アモットか!!ちくしょう!プロが出てきやがった!俺たちを捕まえに来たのか!」
「そうじゃねぇ」
「そ、それじゃぁ、この金が目当てか!?そうだな!か、金なら」
「そうじゃねぇ」
「そ、そうじゃねぇって、そ、それじゃぁ何が目当てーーー」
「・・・今朝」
「け・・・さ・・・??」
「てめぇ強盗前に駅前のパン屋で、俺が毎朝楽しみにしてる限定5個のメロンパンを食っただろ!
あれ最後の一つだったんだぞ!毎日めっちゃ楽しみにしてるんだぞ!!一日の元気はアレから始まるんだぞ!!」
「そ、それかぁぁあああああああ!!・・・って、いやいやいや!!俺勘定したし!!金払ったし!!何も悪いことはしてないし!!」
「この罪は重いなぁ。きっと死刑よりも重いんだろうなぁ。あ、なんかそんな気がしてきた。」
「きいちゃいねぇぇぇえ!!この人聞いちゃいねぇぇええ!!」
「お、おい情報屋の旦那!俺と手をくまねぇか!強盗した金の半分やるから!」
「やだ」
「なら7割だす!」
「やだ」
「ちくしょう!8割だ!」
「えー、うーんどうしよっかな?その依頼にはリスクが大きいんだよ。きっと富士山より大きい。あ、何かそんな気がしてきた。」
「どちくしょう!!9割りやるからこっから逃がしてくれ!!」
「ふっふっふその声を待っていたよ!」
青髪の男は、待ってましたとばかりに、赤髪の男の前に踊りだす。
「アモピーごめんねぇ。」
アモピーと呼ばれた赤髪の男、もといアモットは、半ば予想していた答えだが驚いた。
「あ、てめ、モニョヒョロ!お前裏切る気か!!」
モニョヒョロと呼ばれた青髪の男は、鼻先までずらした伊達メガネをいじり、偉そうにポーズをとって、アモットに宣言した。
「ふ。僕は情報屋なんだよ!」
・・・・・・。
・・・え? と逃亡者の二人がつぶやいた。
アモットの眉間にしわが寄る。
「・・・だから?」
「金で動くのさ!!」
「なんかソレッポイ事言ってるけど,何か違う気がするー!!」
・・・巨漢の逃亡者が何かに求められたかのようにつっこんだ。
「では!さらばアモピー!!!ふはははははははは」
「なにぃいいい!!」
そして、見事に、逃亡者たちは・・・
モニョヒョロに警察署へ連行されました。全ては彼の手のひらの上。
「いやぁ、国家権力って素晴らしいよね。金回りも良い。素晴らしい。いつもありがとうございます。」
この街には、横暴な情報屋がいるようです。
オートクラッツ~ショート~「この街には、横暴な情報屋がいるようです。」
読んでいただきまして、ありがとうございます。
お話読まないで、ここに来た人、あとで読んでね!読んであげてね!
今回、掲載させていただきましたのは、オートクラッツという、オリジナル小説に出てくる、キャラクターのショートストーリーです。
今回出てきたのは、
・赤髪の男 アーノルド=アモット
・青髪の男 モニョヒョロ=ブランシェ
という二人の男です。
ショートストーリーでは、彼らの性格や行動を、本編から切り離した日常のお話にしています。
本編を掲載してないままから外編かよ! 恐れ入ります。すみません。
本編書いて、掲載できるようになったらアップします。
その時は、よろしくお願いいたします。