死生観
「死ねよ。」
たった一言、そう言われた。だから、ボクは、学校の屋上から飛び降りて死んだ。
死んだという感覚はある。ひゅっと息が詰まって、死ぬんだとゾッとした。けれど、飛び降りてしまったボクにはどうすることもできなくて、一瞬だけ体に鋭い痛みが走ったかと思うと体がバラバラに、そしてグチャグチャになるのがよく分かった。血なのか肉なのかそれとも体温なのか理解できなかったけど、暖かく、すぐにそれが冷えていくのを感じた。そこで、プツンとボクの意識は落ちた。
・・・・・・?
死んだはずなのに、何か引っかかって落ちたはずのボクの意識は覚醒した。
そして、あの時、ボクに死ねと言った人は誰だったかとふいに考えて込んだ。
「死ねよ。」
頭の中で再生される言葉。その声は、よく知った声だった。
・・・ボクの声。
おかしい話だ。死んだのはボクで、死ねと言ったのもボクだった。何がどうなっているのかさっぱり見当も付かない。だから、思い出してみることにした。あの時の、ボクが死んだ時のことを。
そうだ、死ねと呪いの言葉を紡いだのはボクだ。そこには1人の少年がいた。ボクが虐めていた同じクラスの少年だった。ボクは自分でもいうのもなんだけど、性根の腐った性格をしていて、表では猫をかぶり裏では弱いものイジメみたいな事して愉悦に浸っていた。
そこで一つの遊びを思いついた。屋上で本当に少年が死ぬかどうかフェンスの向こう側に立たせてみたんだった。少年は、ガチガチと歯を鳴らし怯えて許しを乞うた。それが面白くて面白くて傑作で、少年に近寄り、呪いの言葉をはいた。すると、少年は何かの糸が切れたのか、はたまた死ぬ間際に何か悟ったのか、迷いもせずボクを掴み、同じ場所に立たせ、同じ呪いの言葉をボク言った。
だから、ボクは迷いもせず飛び降りた。その時の少年の表情見たさに自分の命さえ投げ出したのだ。案の定、少年は顔を真っ青にし必死にこちらに手を伸ばしていた。しかし、それも宙を切り、少年の絶望した表情を見ながら、愉悦に浸ってボクはグチャグチャの肉塊に変わった。
「ふふ、ふふふふふっ、」
笑いがこみ上げてきた。あの顔は最高だった。少年は間も無く自殺でもするだろう。気の弱い彼のことだ。一番惨めで酷い死に方をしてくれるに決まっている。
そう考えると、そして予想通りに物事が動いていくことが、何よりの喜びだった。嬉しくて嬉しくてたまらなくなった。
こんな所で寝ている暇はない。少年の死に際を見に行かなくては。
それだけ思うとボクは体を動かし何処かへ消えた。
狂気を纏い、狂った彼は死んでも壊れたままだった。
死生観
何故かすごくホラーなものが出来上がってしまった。
深夜テンションということにしておいて下さい。