とある夜のお題小説
お題:気高き勇者が悪を討って世界を破綻させた
どんなちっぽけな汚れも許さない、気高き勇者がおりました。彼の目の前に広がるは、真っ黒く汚れた世界。私の力で綺麗にしてみせようと意気込む勇者。何度も何度も力を行使した結果、世界は真っ白になった。けれども、強大な力によって世界は綻び破れてしまった。……そう。気高き勇者の名は、漂白剤。
お題:映画、空、悪
とある映画を見た。最悪だとひっそりと噂になっていたが、幸せな結末だった。エンドロールが流れると、空気の読めない観客達は一斉に席を離れていく。静寂が訪れ余韻に浸っていると、突如ノイズが響き、すべては主人公の妄想だったという映像が流れた。その結末を知ることができた観客は、俺だけだった。
とある夜のお題小説