人間プランクトン

人間プランクトン

《前回までのあらすじ》
しゃべったこともない女の子に僕のポエムノートを見られた。恥ずかしくて死んでやると思ったらなぜかその子と交換日記をすることになった。何を言っているかわからないと思うが僕が一番よくわかっていない。

鈴木君の日記1:タイトル『白銀』

幼かった頃に見ていた夢は
下手な物語よりもずっとおもしろくて
目覚めたその余韻もひどく深くて
ずっとずっと眠っていたかった
時計の針がうらめしかった
僕の中から冒険が
こころ震わす物語が
大事にしていた一枚の白い羽根が
消えてしまったのはいつだったのかなあ?
なんだか疲れてしまって
ただ体を休めるだけで
どうしようもない眠気を消すためだけに
僕は眠るようになったんだなあ
僕のなかみはなんだか
湖に張り詰めた一面の氷
みんなは僕のことを硝子みたいだというよ
割れて怪我しそうだって
だけど僕はただ
失ってしまったお花の季節を
待っているだけなんだ
まだ忘れられないんだ



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僕「……ど、どうだ、ガチなやつ書いてやったぞ……これに引いたら懲りてもう僕には絡んでこないだろう……う……」

小乃々木さんの日記1:タイトル『さかな』

さかな さかな
プランクトンたべた
いいこ いいこ

ねこちゃん ねこちゃん
おさかなたべた
いいこ いいこ

くじら くじら
なみだをのんだ
いいこ いいこ

ひとは ひとは
くじらをたべた
こねこをかった
さかなもたべた
プランクトン プランクトン

にんげん にんげん
ひとをくった
いいこ いいこ

みんないいこ だね

わたしはわるいこ


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僕「……ん? んっ!? えっ」

鈴木君の日記2:タイトル『時計』

眠りについてしまえば
何も考えなくていられるのだろうか
止まることを恐れたり
止まっていることを知ってしまったり
止まらないことをねがったり
しないで済むだろうか
でも僕らは生きているから
にげちゃいけないと
わかっているから…



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僕「ど、どうだ……! 気持ち悪いだろ! これはさすがに気持ち悪いだろ! ぞっとしたもん! 自分でぞっとした! さ、さすがにこれじゃドン引きするでしょ……する、よな……?」

小乃々木さんの日記2:タイトル『にんげん』

このまま眠っていたいと
このまま黙っていたいと
おもう気持ちは
どこからくるの

このまま笑っていたいと
このまま泣いていたいと
おもうこころは
いつから傍にいたの

もてあます

あふれるばかりの

せきとめられぬ

この私の身体 わたしのこころ



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僕「あれっ」

鈴木君の日記3:タイトル『壊れた玩具箱』

そんなふうに
待ってたって王子なんて来やしないよ

そんなふうに探してたって
眠れる王女なんていやしないんだよ

そんなふうに瞳に影ともしてボクを見たって
キミにあげるおとぎ話なんて持っちゃいないよ

もう一度言ってあげようか

だから

パートナーガイルカラッテネタンデハイケナイヨ
ダッテキミハキミノコトバカリデオモイヤリガナイカラ
ソンナシカクアリャシナイヨ
ダレカニタスケテモライタイダナンテキレイゴトダヨワラッチャウヨ
ジブンガダイジナクセニ
イチバンダイジナクセニ
イチバンダイジニシテナイダロ
キミガカワンナイナラ
ダレモキテハクレナインダヨ

ひとりぽっちでさみしいかい?

キョウキガソンナニタノシイカイ?


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僕「……これ自分では気に入ってたっつうか、自分に対して自虐的に書いたやつだったけど今見るとイタいなー……。しかもそれを赤の他人に届けようとしてる自分。うわー……最悪だなー……でもこれでさすがに僕はクズだってわかってくれるだろう……」

小乃々木さんの日記3:タイトル『壊れたおもちゃ箱のソトカラ』

はんぷてぃだんぷてぃ

きみはなにをしているの

はんぷてぃぱんぷきん

みちに迷ってしまったの

ぱんぷきんぽんぱてぃ

さあさぼくらといっしょにおいでよ

おしえてあげるよ

ほら

  ほら

ほら

 ほら

はんぷてぃぱんぷでぃ

いいえわたしはみちがこわいの

ぽんぱでぃぱんぷでぃ

そうかきみはそうやって

いつもいつもでてこようとしないんだね

きみはそのこわれたぼろぼろのおもちゃばこの中で

ずっとずっとうずくまっているんだね

さあさほこりおとしちゃって

ふたをちょぴっとでいいからあけてみなよ

ぱんぷてぃぷてぃんぐ

おそとのせかいはね

いいにおいがするんだよ

ほら

  ね

はんぷてぃだんぷてぃ

とまっちゃった時計の針なんてもうもどりゃしないよ

はんぷてぃだんぷてぃ

くるっちゃったせかいのなかにうずくまって

そんなおんなじかんこーひーのんでばっかでいないでさ

こっちおいでよ

ぱんぷきんぷでぃんぐ

ほらやけたよできあがったよ

たべてごらんよ

いがいにうまいもんだよ?

ほら

  ね?


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僕「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」

人間プランクトン

人間プランクトン

教室でやたら浮いてるネガティブポエミー(そしてツッコミ)DK鈴木君と、存在感の薄いポガティブJK小乃々木さん(ぶっとんでる)がそんなこんなで交換日記を始めました。鈴木君の受難は続く!多分最終的にはハッピーエンド。 誰かの頭が痛くなる適当な詞の集合体プランクトン。気分きままに連載。 素敵な表紙イラストはルシア様(http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49615405)よりお借りしております。こちらの画像は本来Pixivの小説用素材であり、転載不可です。よろしくお願いいたします。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-16

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 鈴木君の日記1:タイトル『白銀』
  2. 小乃々木さんの日記1:タイトル『さかな』
  3. 鈴木君の日記2:タイトル『時計』
  4. 小乃々木さんの日記2:タイトル『にんげん』
  5. 鈴木君の日記3:タイトル『壊れた玩具箱』
  6. 小乃々木さんの日記3:タイトル『壊れたおもちゃ箱のソトカラ』