啜る世界

かさ

コーヒーを一口

コーヒーを一口。広がる苦味に顔をしかめていれば、今ある現実が、シュガーと共にかき混ぜられて甘くなることはないのだろうか。などど、他愛もない想像をしてみて、もしかしたらと願いを込めて窓の外を見る。
何の変哲もない世界が広がっていて、その世界を、何の変哲もない僕が見ている。
何の変哲もない僕と世界。苦いコーヒーが隔ててくれるものはない。それこそシュガーでもいれないと。
また一口啜って。それでも世界が変わっていなければ。
「待っててくれたんだ。もう5時間になるのよ。呆れて何も言えないわ」
現れた彼女。世界が甘くなった瞬間。
僕はコーヒーを啜る。口の中に広がった味は、今いる現実と同じ味だった。

啜る世界

啜る世界

コーヒーを啜りながら見える世界は。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-14

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