短長
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「人間てさ、長く生きすぎだよね。」
ついこないだ、友達の英美ちゃんがふいに呟いた言葉。
私はあれから、この言葉の意味をずっと考えている。
英美ちゃんはなんともなしに、ただ思ったことを口にしただけかもしれない。
この言葉を言っていた休み時間の前の授業は保健で、寿命の話をしていたからかもしれない。
人の寿命はだいたい80年…いや、今はもっと長生きで90歳くらいまで生きるんだっけ。
80年も90年もそんなに変わらない気がする。
でも、それが長いのか短いのかは良く分からない。
あの言葉を言った後の英美ちゃんに、一緒にいた加奈子は
「じゃあ英美は何歳で死にたいの?」
と聞いた。
私は突然飛び出した『死』というフレーズに少し困惑した。
けれど英美ちゃんは加奈子の質問に臆することなく
「60…70くらいまで生きれば良いかな」
と答えた。
80年と90年があまり変わらないと思った私と
70年と80年に大きな差があるように話す英美ちゃん。
10年。
10年は長いのかな、短いのかな。
90年生きる人間は長生き?
70歳で死んじゃった人は、長生きじゃない?
「人間てさ、長く生きすぎだよね。」
そう言った英美ちゃんは、まっすぐ前を見ていた。
短長
もっと長く書くつもりが、短編とも言い難い短さ…。
言葉が湧いてくるのは心地よいと同時に、上手く表現出来ないとフラストレーションが溜まっていきます。
それでも、このまま眠ってしまって、忘れてしまうくらいなら、形にしてしまおうと思えたから。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。