新明暗

11/21  『新明暗』  ドラマシティ

佐々木蔵之介 (ささきくらのすけ)
関西の人気劇団「惑星ピスタチオ」出身。NODA・MAP『半神』やパルコ劇場『おやすみの前に』松竹『おはつ』など、おもにプロデュース公演で活躍。最近は『白い巨塔』『離婚弁護士』など話題のテレビドラマに出演し、注目を集めている。7月より『ラストプレゼント』にレギュラー出演予定。今回は内面表現が中心の難しい役どころに挑戦した。

山本郁子 (やまもといくこ)
文学座所属。『華岡青洲の妻』等の劇団公演の他、こまつ座『頭痛肩こり樋口一葉』『きらめく星座』、新橋演舞場『お江戸でござる』などに出演。永井が一目見て「お延だ!」と思い、本作品にキャスティングした。観客を驚きの結末へと導く重要な役割を務める。

木野花 (きのはな)
1974年に女性だけの劇団「青い鳥」を結成し、80年代小劇場ブームの騎手的存在に。退団後も女優・演出家として精力的に活動。『新・明暗』ではサッチー的性格の重役夫人の他、早変わりで全く違う役もこなすのが見どころ。初演では客席にいる演出家を毎公演笑わせた。

下総源太朗 (しもふさげんたろう)
劇団「転位・21」を経て93年より燐光群に参加。『屋根裏』『CVR』『錦小路の素浪人』等多くの作品に出演、燐光群にはなくてはならない存在。他劇団やプロデュース公演にも頻繁に登場する売れっ子である。本作品では主人公にむやみに絡む屈折した男を演じる

小山萌子 (こやまもえこ)
扉座を経て現在フリー。二兎社『パパのデモクラシー』『萩家の三姉妹』『日暮町風土記』、新国立劇場『こんにちは、母さん』『ゴロヴリョフ家の人々』と、永井作品への出演が続く。初演では同じ俳優が扮しているとは気づかない観客もいたほど鮮やかに3役を演じ分けた。

土屋良太 (つちやりょうた)
劇団3○○出身。2000年に旗揚げした「モザメ」では自ら作・演出・出演・プロデュースを務める。二兎社では『パパのデモクラシー』(再演)や『萩家の三姉妹』で確かな演技力を見せ、今回は居酒屋の労働者からエリート外交員まで、全く異なる4役に挑戦している。

鴨川てんし (かもがわ てんし)
空間演技出身。2002年からは燐光群に所属し、『ララミー・プロジェクト』『CVR』『だるまさんがころんだ』など、同劇団の作品に連続出演している。二兎社初参加。初演の山本隆二とは味わいの異なる役作りで新風をもたらすことが期待されている。

中村方隆 (なかむらほうりゅう)
アンダーグラウンド自由劇場、演劇センター68/71、オンシアター自由劇場、東京壱組(全作品)と、全盛期のアングラ・小劇場の舞台を中心に活躍。二兎社『パパのデモクラシー』では、時代に振り回されながらも抜け目のない神主を演じた。今回も渋い存在感を見せている。

あらすじ

 津田由雄は大手商社の若手エリート。都内の高級マンションで、延子との新婚生活をスタートさせたばかりだ。延子は重役・吉川の親友の娘。恋愛結婚には違いないが、将来の重役ポストへの足固めだと噂する人もいる。由雄の目下の悩みは悪化した痔。とうとう医者に手術を勧められてしまった。とたんに由雄は不安になる。この肉体はいつ、どんな急変に襲われないとも限らない。精神だって同じだろう。だいたい、なぜ自分は延子と結婚することになったのか? かつての恋人、清子にフラれたから? じゃあ、なぜ清子は急変し、他の男と結婚してしまったのか?「暗い不思議な力が自分を支配している」由雄はそんな考えにとりつかれ出した。延子もとっくに不安を抱えていた。新婚だというのに、もう夫は謎に包まれている。会話を避け、すぐ自室に引っ込んでしまうのはなぜだろう。結婚を機に人材派遣会社を退社した延子は、さらなるキャリアアップを目指して充電中。専業主婦になってどんなに尽くしても、いずれは夫に軽んじられる。延子の理想は唯一絶対の存在として愛し愛される夫婦関係。その実現のためには、夫と対等に向き合えるような社会的存在でありたかった。
  だが、もうすでに二人はコミュニケーション不全に陥っている。延子は由雄が何か重大なことを隠していると勘ぐり、由雄は延子が何かを探ろうとしていると警戒した。二人にはマンションのローンも重く、その返済をめぐっても、腹の探り合いが続いていた。その上面倒なことに、二人は敵だか味方だかわからない人々に囲まれていた。
 吉川夫人は夫の優秀な部下として、由雄が大のお気に入り。だが、好意を超え、すべてを支配しようとする夫人の欲望も、由雄は敏感に察知していた。夫人はなぜか延子を嫌い、清子のことをほのめかして由雄を刺激する。由雄の妹、秀子もなぜか延子を嫌っていた。社長夫人として裕福に暮らす秀子は、延子が由雄を悪く変えたと思い込んでいる。その根拠も由雄にはわからない。小林という男も由雄にはやっかいな旧友だった。ルポライターを自称し、怪しげな職業を転々としている小林は、由雄のエリート意識を罵りながらつきまとう。
由雄の入院、手術、退院と日を追うにつれ、これらの人間関係は由雄と延子を翻弄した。吉川夫人、秀子、小林の言動から、延子は由雄に忘れられない女がいると確信する。
一方、由雄は吉川夫人に煽られ、清子が宿泊中の温泉宿に向かう。清子に会い、なぜフラれたのかを聞き出そうというのだが───

「新明暗」の大阪公演はたったの2回しかなくてチケットを取るのに大変苦労したあげく、ようやく手に入れた座席は最後列という、トホホな観劇となった。

おまけに劇場へ入ると蔵之介さん関連の物は売っているのにパンフレットは売って無い?! しかも舞台の登場人物は佐々木さんを除いて殆どの方が2役3役とやっているらしい。

配役どころか登場人物の名前さえどんな字を書くのかがさっぱり判らないので取り合えず「二兎社」のHPを覗きに行ったのだが・・・、上記のように役者さんの経歴はあるが配役が書いて無い(涙)

え?いっ、プログラムの代りだよ?っと、HPからお借りしてきました。

佐々木さん曰く 「・・・痔の話なんですがね・・・」 と言うことだったが、これは夫婦のお話だった。

舞台には正面に白と黒(かグレー?)の壁面に幾何学模様のように大小の四角い穴開いた2階建ての装置が見える。この四角い穴がいろんな場面に使い分けられる。

1階にはこの装置の中を小さめに廻る廻り舞台があるがこれが廻る時ガラガラと、とても大きな音がする。この舞台装置の中でもっとも心奪われたのは後半に出てくる旅館のシーンで

この装置の裏側にパァ?-ッと一面に紅葉のオレンジ色が広がった時!!前面の白黒の窓から透けて見える全山紅葉といった場面・・・、もう?素晴らしく綺麗だった!

――あらすじの続きだが、清子はその訳を誠にアッサリと由雄の友人の関が好きになったから・・・、と事もなげに言う。だが追加の訳が有って別れた本当の訳は由雄の性格に有ったという続けオマケにその関との夫婦仲も上手く行かなくて・・・、と由雄に言い寄る素振りを見せ、由雄の方も何を思ったのかすぐに抱き合ってキスをする。これって何よ・・・?と言う感じ(笑)だが長い間胸にシコリのようになっていた振られた訳も聞いて見れば何の事は無い。清子に下の浴室で待っていると言われたが長居は無用と台風の中を傘を差して逃げ出ししまう由雄・・・。此処のシーンは小さな周り舞台を忙しく走るが大変だったろうな!

登場人物にそれぞれの背景は有るが結局はこのシーンが本題だと思ったので後は割愛するとして、文豪と言われる夏目漱石の原作が何処までだったのかは判らないが、心の裏側というか揺れる思いとか、かなり理屈っぽい言葉が並んでいるのではないかと想像した。夫婦が抱き合っているのに心がすれ違っている様を顔を背けながら言葉に出して呟くなど笑いを取りながらも判りやすいシーンに成っているのは永井さんの演出の成果かな?

小山萌子さんの2役には恐れ入った!特に由雄の妹秀子に扮した場面はとても可笑しかった!メガネをかけ下腹を突き出し内股で歩く姿・・・、この年の離れた正太郎の後妻に請われたという秀子のキャラはそのまま説明が要らないくらいぴったり!延子の妹に扮した人物が同じなんて思えないくらいだった(笑)

それと吉川夫人と露子を演じた木野花さん、私はこの方が舞台に登場した時は川口敦子さんだとばかり思っていた(苦笑) とっても良く似ていると思うのだが・・・。

だがプログラムが無いので2幕の冒頭、2階の幾何学模様の窓の中でカラオケを歌っているのは吉川夫人だとばかり思い込んで観ていたら、どうやら露子と言う不倫をしている女性らしい。本当にプログラムが無いなんて不親切だよなぁ?。

此処でプログラムについてチョッと・・・。

私は観劇の度にプログラムは必ず購入するのだが、そのプログラムも色んな種類がある。お菓子の付いた物もあれば趣向を凝らしたエッ!これがプログラム?というのもある。

だが中には薄っぺらで内容も貧弱なのに、これが¥1500もするの??というのもあって様々だ。そのなかで東宝ミュージカルのプログラムは¥2000と少々お高いがプリンシパルキャストは勿論の事、アンサンブルやその他諸々の方まで全て写真入りだし、物語の背景からストーリー、曲目の歌詞や舞台写真、稽古場の写真まで入っているし、香盤表にはどのシーンにどの役で、と誠に親切に書いてあってそのシーンの何処にお目当ての役者さんが居るのか探すのも楽しみの一つだ。「エリザベート」のように短期間に何度も上演を繰り返している作品のプログラムは、その度に対談などを載せたりして観客の心理につけこんだ、売らんかな!が見え見えのもあるけど・・・(笑)、でもとっても親切なプログラムだし、舞台が始まるまでに見ていて楽しいし帰ってからも読み返しているから、その値打ちは有ると思う。制作の方はもう少しプログラムを吟味してもらえれば嬉しいけれど・・・、売っていないなんて・・・(T_T)/~~~。

この舞台は初演の時開幕して間もない時に延子役の山本郁子さんが舞台で骨折するというハプニングに襲われ、何日か休演になったが段取りを変更して山本さんが頑張って舞台を続行したと聞いている。再演はこの大阪が大楽だそうで演出の永井さんも来ていらしてカーテンコールの時舞台に登場され挨拶があったが、また近いうちに再々演があるらしい。

新明暗

新明暗

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-01-16

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