ボクの妹

ボクにはものすごく可愛い妹がいる。ボクのおへそくらいの背丈で最近一緒に練習してようやく歩けるようになった。頼りないけど、ボクも1人の兄として妹に信頼される存在になれたんじゃないかと思っている。そんなボクは妹を起こす係に任命されている。今日も今日とて妹を起こしに行く。「おーい、もう朝だぞー」しかし起きない、どうしたのか。ボクは妹の頬を軽く叩いてゾッとした。冷たい。まさか。ボクは慌てて鼻に手をやると息をしていない。ボクは腰を抜かしてしばらく動けなかった。そして、ハッとして急いでリビングへ向かう。慣れない携帯電話に震える手で119のボタンを押す。「もしもし! 妹が、妹が!早く来てください! 」
対して相手はいたって冷静に言った。
「落ち着いてください。消防ですか。救急ですか?」
「え?ええと妹が息をしていなくて」
自分でも分かるほどに声が震えている。
「救急ですね。お名前と住所を言ってください」
「名前は小林悠太です! 住所はええっと‥」
ボクはこんな時のためにお母さんが用意してくれた張り紙を見る。
「ええと、田原町の○○-○です! 早く来てください! 」
「分かりました。落ち着いてまずは心臓マッサージをしてください。」
心臓マッサージ? ああ、前にテレビで見たことがあるぞ。ボクは携帯を投げ捨てて妹の所へ走った。急いで妹の胸を強く押す。その弱々しい肋骨は今にも折れてしまそうだ。お願いします神様どうか妹だけは助けて下さい。お願いします。数分後、家に救急車が到着し、妹が運ばれていく。隊員の人はボクに「歩けますか?大丈夫ですか? 」と手を差し伸べてくれた。ボクはこんなに優しい人達なら妹を助けてくれるはずだと何の根拠も無く思っていた。しかし、その思いも虚しく妹は死んだ。そんな、どうして‥妹がなぜ死んだのか全く見当がつかない。全くの健康体だったのに…僕は医者の先生に泣きながら死因を尋ねた。医者はとても人の死因を話すとは思えないほど軽い口調で
「老衰ですね。」
と言葉少なく答えた。

ボクの妹

幼少期はとても大きく見えたおばあちゃんも気づけば小さくなっていますよね。特に背の曲がったおばあさんなんかは。
ちなみに途中で出てきた母からの張り紙というのはボク(おじいちゃん)が認知症で実は母ではなく娘からの物だったりします。とどうでもいい裏設定を言ってみる。

ボクの妹

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  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-11

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