戦争少女イスカ

秋桜空

  1. シンの回想(執筆中)
  2. プロローグ
  3. 0日目
  4. 1日目
  5. 2日目

 唯乃なない様の「誰かこんな小説を書いてくれ」(http://ncode.syosetu.com/n3137cg)No.81「戦争少女イスカ」を元ネタとして書いてみました。

「戦争のことや、戦争の噂を聞くでしょうが、気を付けて、慌てないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし終わりが来たのではありません。民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉と地震が起こります。しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。そのとき人々は、あなた方を苦しい目に会わせ、殺します。<中略>あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。また、そのときには、人々が大勢つまづき、互いに裏切り、憎みあいます。また、にせ予言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。しかし、最後まで耐え忍ぶものは救われます」(マタイの福音書24章6~13節。新改訳)

シンの回想(執筆中)

 クリトン高等学舎の正門を抜けると、目の前に広大な敷地が現れた。今日は入学式である。県内の尋常学舎から成績上位1%だけが進学を許可される。
 教室には1人の女子生徒が座っており、何やら空想を巡らせていた。時々ふふっと笑う。しばらくするうちに制服の内ポケットから銀色の物体を取り出し逆手に持った。慌てたシンは手からナイフを払い落とし、肩を揺さぶった。すると女子生徒は虚ろな目で言った。
「私は、何のために生きているの?」
「……」
「君は?」
「……」
「答えられないの?」
彼女はナイフをしまい、再び空想に戻った。名札には「イスカ」の文字。

 男子寮は原則4人部屋。慣例により1年生だけは同級生のみで編成される。

プロローグ

 イスカは疲れ切っていた。ここ数日、飲まず食わずの不眠不休で走り続けている。時には実弾を喰らい消えた仲間も見た。
 何もないところで躓き、転ぶ。息は過呼吸などという言葉では表せないほど上がっている。それでも手の甲についた血をなめると死んだ目でつぶやいた。
「大丈夫。まだ、いける」

 何とか立ち上がると何処にも仲間の姿は無かった。縦横無尽の足跡が方向感覚を狂わせる。あたりを見回し、へたりこんだ。走るのに必死で、視覚の記憶がない。四六時中響く大量の銃声と疲労が思考を遮る。
 いつの間にか、眠りに落ちていた。

0日目

 朝のニュース番組は、国営から民放まで全チャンネルが同じ映像を流していた。当然だ。放送関連法により「臨時的かつ一時的に」国立放送局が強制的に番組内容を上書きするのだから。
 その映像とは、炎の海。倒れる兵士たち。容赦ないコラテラルダメージ。
「――何よ、これ」
「黙って食べなさい」
母親の注意など耳に入らず、居間で朝食を食べながらしゃべり続ける少女。
「おかしいよ……同じ人間同士で殺しあうの? 何のために? 書類と会議の中だけの権利? お金? どうなっているの」
「……遅いわ。今のうちに食べておきなさい」
その一言で、言葉の主は自分の行動がどのような結果を生むかに気づいた。案の定、玄関のインターフォンが鳴る。目の合図で立ち上がったその顔には、自信が溢れていた。
「君の名前はイスカ。間違いないね?」
「はい」

 それからのことはよく覚えていない。気が付くと建物の陰に身を潜めていた。これからどうしようかと考えていると、背中から声がした。心臓が止まる。
「なにやってんの?」
高等学舎の同級生だった。杞憂の想像が消えて安心の溜息が出る。
「シン君か……。良かった。治安維持法に引っかかっちゃって」
「いつかやらかすと思ってたけど、このタイミングかよ」
「ん?」
「今日の新聞は見たか?」
「見てない」
「テレビは?」
「開戦ビデオ」
「そうか……とりあえず俺の家まで来ようか。ここが安全とも思えないし」
「そうね」
そのとき、反対側から声がした。
「いたぞ!」
「まずい」
はじき飛ばされたように走り出す。玄関に飛び込んでチェーンロックを下ろした途端、ドアが震え出す。時間がない。尋ねると、庭の井戸が防空壕につながっており、そのもう片方にも出口があるということだった。

 国内の大手新聞は2社ある。国立放送局と同時に設立された国立新聞機構、そして民営の共同報道社。前者は最前線で勝利する記事で埋め尽くされ、後者は海外や科学、文化の記事が多い。特別機密情報制限法により政治系のニュースはあまり流れなくなった。これは同法による情報庁の設置から続いている。

 暗闇の中を延々と歩き、鍵の錆びたドアをこじ開けると、突然目の前に実弾が飛び交う戦場が現れた。それは朝に見た映像とそっくりだった。デジャビュなのだろうか。慌てて引き返そうとすると、奥のほうから叫ぶ声と足跡が近づいてくる。……戻れない。イスカとシンは数種類の恐怖を天秤にかけながら見つめ合い、ひとつの結論を弾き出した。

1日目

 イスカが目覚めたのは夜だった。何日経過したのかは分からないが。上に何か被さっているのでいるので見ると、服と縫い付けてある国旗からして自国の兵士だった。体には無数の銃創。想像すると震えが止まらない。
 調べてみると微量の水と食料が見つかった。袋が破けているので、中身はほとんど飛び散ったのだろう。どちらも腐りかけていたがイスカは夢中で食べた。お礼を言うとすぐに立ち去る。日の出の前に少しでも空腹を満たしておきたかった。
 この時、イスカは人からものを奪うことを覚えた。

 すべての遺体が同じ状態とは限らないため一人一人調べる必要があった。しかも、それに使う体力に見合う食事が得られることは少なかった。
 あるとき、水と食料は食いつくしていたが弾倉に実弾が装填されたままの銃が入っていた。試し撃ちの結果、十分使えることが分かった。……これさえあれば、もっと新鮮な食料が大量に集められるはず。イスカは想像してほくそ笑んだ。

 目の前に兵士らしき人が現れ、何か喋った。反射的に撃つ。銃弾は脳天にヒットし兵士は倒れた。逃げている途中に血や死体は飽きるほど見たが自分の手で殺した経験などなかった。それだけにイスカの頭脳は新鮮な刺激としてこれを受け取った。同時に、骨と皮だけで軽かったため反動で数メートル吹っ飛ばされた。
 食料が入れてあるのは上着のポケットである。射撃経験のないイスカにとっては偶然だったが一人分の食料が手に入ったわけだ。
 だが、疲れ切ってたどり着けない。

 朝食によって胃が活性化されたのか、腹は栄養を要求する。しかし肺は休息を要求する。イスカは朦朧とする意識の中で考えた。これが戦争の地獄なんだな。
 そのまま数時間苦しみ続け、息も絶え絶え。手を動かすと、近くに銃が。まだ弾は残っている。この状況から逃れられるなら、と思い引き金を引くと、弾道はそれて足を貫通。もう一発。今度は腕。次は肩。そして……空砲。前より苦しみが増幅しただけだった。いいか、放っておけば出血多量で死ぬだろうから。
 イスカは眠りについた。痛みで顔が歪んでいたが、笑顔だった。

2日目

 この日、両政府は戦争を引き分けとし終結させる声明を発表。だが両国とも軍が終結に反対し、事実上継続された。
 国連会(国際連絡会議)は武力制裁を決断。3軍が入り乱れることとなった。

 男が人を担いで救護所を訪れた。

戦争少女イスカ

そういえば「一つの花」に出てきたのはコスモスだった気がする。

戦争少女イスカ

セッション数100突破記念小説。 残酷描写が多いので苦手な方はご遠慮ください。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
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