僕らの列車

僕らの列車は悠久のときを旅してきた
一瞬見えたそれは瞬きをした間に僕らを置いてきぼりにしていく
僕らの列車なのにそう簡単に乗ることを許しちゃくれない

苦しい

怖い

深い淀みの中かから
必死になって手を伸ばして
躍起なって足を動かしても

追いつけなくて
触れられなくて

僕らの列車は通りすぎていく

誰かを押し退けて
足を引っ張って
誰かを引きずり落とさないと
僕らは・・・・・

僕は・・・・・。

列車の幻影を追いかけ
永くのびる線路をたどりながら
今日もどこか走る列車を想う。



不確定要素の詰まった未来へ
これからどうすればよいのか、教えて下さい。

僕の将来に対する唯ぼんやりした不安

それは誰の心にも住み着いていて
ただ線路をたどることでしか
その思いを紛らわすことはできない。



その列車が虚無(無人)であることに
まだ誰も気づかない。

僕らの列車

「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」 芥川龍之介が遺した言葉です。
列車は、人が勝手に作り上げた幻影と妄想の産物かもしれません。

僕らの列車

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-04

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