猫 1

なおちゃんに捧げる

指が細くて、身体も細い。
いつもの紫のパーカーと、猫背の君は何を考えてるの?

暖かい日差しが差し込む午後。


ニャー…
猫が鳴いた…。

一松、どうせ猫の相手するんでしょ?とか思ってた。
なのに、じーっと見てる。

「…」

『…』



あれ、見てるの、もしかして…

すっと一松が立ち上がりこっちに来た。
いきなり、こっちに来るなんて…
ってちょっと戸惑ったけど…

「ねぇ…」
一松の指がマスクをはずして囁く。
『…』


近い、あ、さっきまでのタバコのにおい…
んん、ちょっと強め。

心臓の鼓動が速くなってきた。
バクバク バクバク、

スッと一松の手が私の左胸に置かれる。

『…ッ!!』
反射的に一瞬身体を反らす。
一瞬後ろによろけそうになった。

「ひひっ…なおの心臓バクバクじゃん。」
含み笑いたっぷりに一松は言った。
その指がわずかに動いた。

まるで大切な物を触るみたいに。

「ねぇ…なお」
ボサボサの髪が額に触れる。
『…なに?』

「ヒマでしょ…頭なでてよ。」

そのボサボサの髪が微かに揺れた。
『なでればいいの?一松ってほんと猫みたい(笑)』

その伏し目がちな目。
ほんと猫みたい。

のんきにそんなことをかんがえながら一松の頭に触れようとした。

いきなりグイッと腕を引っ張られた。
『っ…な、に?』
「こうやって腕まわして。」
きゅっと一松のパーカーに抱きしめる姿勢になる。
「そうそう…ひひ。それでもっと強くギュってして。」

ぎゅうっ……
こんな感じ…?


「あぁ…幸せ。」
『今日は蔑まないんだ…?』
「なに?…そんなに言ってほしいの?
変態じゃん、なお。まぁ、お望みなら言うけど」

猫背の姿勢、いつもスウェットだし素足だし、猫が友達とか言ってるのに、

「今日はあんたが猫」
そっちじゃん…と思ったけど、

『猫でもいいよ〜〜一松にかまってもらえるもん〜』
「チッ…」

クスって笑った。
一松の少し照れた顔。ほんとはね、すごく可愛い。

一松が好き。

一松なら猫になってもいいかな…(笑)


「あ、言ったね?」
『え。』

なに、私言ってな

「思いっきり口に出てたけど…」
『う、そ…』

「はぁ〜〜い、なおちゃん言いましたね??言いましたね??」
『ちょ、ちょっと待って。』

「なんだよ、猫になるって言ったじゃん取り消しとかできないから。取り消すなら毎日風呂覗いて動画撮ってオカズにするよ。」

じゃあ…と一松は言った。

「さっそくだけど…鳴いてみてよニャーって….ヒヒ」
『えー…』
「鳴かないとこうしちゃうケド…」
『なっ…!!』
「ヒヒヒ…いい眺め〜 」

一松はシャツの下からくすぐってきた。
『や、やめてよ!!くすぐったいってば〜〜〜!!あははっはっ…やだって!」

ちょっと、息ができなくなりそうになってきた。
くすぐったいし恥ずかしいし、!!

『なっ…鳴くから!鳴くからやめてっ…あはははっいちま、つっ!』
「よお〜し、じゃやめてやるよ…」

その言葉と同時に一松の手が止まった。

『はぁ…はぁ…』
息がきれる。一松ひどい…でも………

なんでかな…幸せ…一松の手って細いんだけど、なんか優しいんだよね…
勘違いじゃないよ。


「なお」
『………にゃー』

……ん、????????????

「……ダメ。」
『え…なにが』
「もー 1回。」
『にゃあ〜ん』

……遊んでるだけじゃん。一松。

『もーやだ!一松、!』

一松から離れようとした。
このままだと永遠に猫の真似させられそうだし………

『はなし、っ!』
「ヤダ。」

『もうやらないよ、真似なんて』
「いいよやんなくても。でも僕から離れないで。1人にしないでよ。」

「なおがいないと無理。」

『猫がいないと無理なんじゃないの…?』


ちょっと、皮肉を込めて言ったけど。


「だってなおが僕の猫。僕だけの。あげない。」
『一松…』

「なお 好き。」


一松。私だけの。


私も「好き」





「今度は一松が猫…」

『じゃあ 頭なでて…また。』

猫 1

おそ松!!

猫 1

甘えたい…

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 成人向け
  • 強い反社会的表現
  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2016-02-03

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