オレンジュースパーティー

「さあさあ、これを飲んでみて。君が現在幸せだと思っているのなら甘く、その逆なら辛いはずだよ」

怪しげなおじさんが高校生の群れに、トレイに載ったきれいなオレンジ色の入った紙コップをぐいぐい差し出す。
恐る恐る同時にみんなはそれを飲みほすと顔を歪めた。

「かっら」
「これは……飲めない」
「この世のもんじゃないね」

笑いながらそう言い合うみんなはそれでも全部を飲み干して紙コップをぐしゃりと潰す。
僕は小さい頃飲み慣れていたオレンジジュースとよく似ていると思ったのだが、みんなと同様に僕も懐かしいオレンジ色を飲み干しておじさんのトレイに返した。

「すごく辛いですね。もう飲めません」

本当はまた飲んでみたいほどだったがみんなが辛いんだったら辛いことにしておこう。
おじさんはまた飲みにおいでとだけ言うともうなにも言わなかった。

オレンジュースパーティー

オレンジュースパーティー

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-02

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