夜重丸 新人篇

あの依頼も無事終了し、夜一郎達は居酒屋を営業していた。
「今日は客が少ねぇな」
夜一郎は暇そうに言った。
その後も客はほとんど来ず、閉店時間になった。
「夜一郎、のれんを片付けてくれ」
神琴は洗い物をしながら言った。
「ん」
夜一郎は外に出てのれんを取ると、少しだけ歩いた。
するとすぐ近くの路地裏に人が倒れているのを見つけた。
「........!!」
夜一郎は急いで倒れている人に駆け寄った。
倒れているのは夜一郎と同い年くらいの青年だった。
ところどころに痣があり、流血もしていた。意識もない。
夜一郎は青年を抱き抱えると店に入った。
「...!!夜一郎何があったのじゃ!?」
神琴は夜一郎に駆け寄った。
「そこの路地裏に倒れてた...病院もこの時間じゃあな....神琴、処置頼めるか?」
「ああ」
夜一郎はそのまま二階の寝室へ行くと青年を布団に寝かせた。

目を覚ますと、見慣れない部屋が視界に映った。
青年は驚いて急いで起き上がった。
すぐそばには座ったまま寝ている一人の美女がいた。
神琴だ。
「.........え」
全く状況がわからない青年は部屋を見渡した。
その時。
「起きたか」
夜一郎が部屋に入ってきた。
青年は素早く夜一郎の方を向いた。
「えっと...とりあえず状況の説明を...」
青年は苦笑いした。
「お前がそこの路地裏で倒れてたからそいつが看病してたんだよ。後で礼言っとけよ」
夜一郎は寝ている神琴を指差した。
「そうなんですか...名前は?」
「俺は杉田夜一郎だ。で、そっちの女が天津神琴。お前は?」
「俺は坂本蘭丸です」
猫目の青年は蘭丸という名前だそうだ。
「蘭丸かー。よろしくな」
夜一郎はそう言うと神琴の方に行った。
「おーい神琴ー。起きろー」
「ん...あれ...寝ていたのじゃな...」
神琴は目をこすった。
「はいこちら坂本蘭丸くんですー」
夜一郎は蘭丸に視線を向けた。
「おお、ぬし起きたのじゃな...蘭丸か、よろしく頼む...」
寝起きで元気はないが神琴は言った。
「....で、蘭丸、お前なんであんなところに倒れてたんだ?」
「...それは......」



続く

夜重丸 新人篇

夜重丸 新人篇

「ぬしを助けたのはわっちではありんせん。夜一郎じゃ」 夜重丸に助けられた坂本蘭丸。 彼の秘密とは──?

  • 小説
  • 掌編
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-02

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