名前のわからないもの。

あなたがいるだけで前を向ける。

曲を聴くたび、声を聴くたび、他にはない「あなた」にしかないこの感情が自分でも確かめられるぐらいにわかる。
感謝なんかじゃ、伝えきれないんだ。
この感情は日に日に増すばかりで、僕は。
あなたに、手紙を書いたら、直接言葉にして伝えられたら、この気持ちを返すことは出来るのだろうか。
あなたの目には、僕なんか干渉すらしてないのだろう。多くのあなたを想う人の1人にすぎないのだから。
でも、それだから安心できるのかもしれない。
決して近づかないこの距離が僕を安心させているのかも知れない。
恋なんてものとは違うこの感情。
もっともっと深くて脆くて、あなたみたいに真っ直ぐなんだ。

「恰好いいから好き」なのか、「好きだから恰好いい」なのか。恰好いいだけでは済ませられないけれど僕はきっと後者だろう。
あなたが歌に愛されたいと願うように、僕はあなたに見返りを求めているのかもしれない。
そんな自分が大嫌いで、でもあなたに憧れて、
どうすればいいのか。この気持ちの答えはまだ見つからない。これからも見つけられないのかもしれない。この気持ちが褪せるときがくるとしても、僕の心を揺さぶったあなたの存在は決して忘れないだろう。いや、忘れない。忘れられないんだ。この気持ちが間違っているものだとしても、
僕が前を向く理由にさせて欲しい。そのぐらいは許されるだろうか。

あなたのことをもっと知りたいと思う。
それはいけないことなのだろうか。
怖いことはこの気持ちが無くなってしまうことだ。そうしたらどうなるのだろうか。僕が僕じゃなくなる気がする。あなたが欠けた僕は果たして僕なのだろうか。それが分からなくて怖くなる。
ある種の依存、なのかもしれない。
どうすればいいんだ。あなたを想うほど苦しくなる。好きで、応援したくて、ただ前を向くあなたを追いかけたくて。

名前のわからないもの。

名前のわからないもの。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-02-01

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