小鳥は飛べない 知りたくない

私は飛べない小鳥。

飛べない小鳥は考える。

飛べない理由と重さの意味

私は小鳥。
飛べない、小鳥。
いつだったか、私は自由に空を飛んでいた。
しかし、私は何かを知るたびに飛べなくなっていった。
「  」
誰かの言葉の意味を知るたびに怖くなった。
(  )
誰かの噂を聞くたびに震え上がった。
「ーーー!!」
誰かの叫び声が聞こえるたびそれが自分のものかと確かめた。

わたしはどんどん重くなっていく。
小鳥はもう、飛べない。
身体が重い。
重い。
重い。
思い。

まるで言葉遊びのようだ。
私は人の思いを知っていく。
その度に私は重くなっていく。

今ではもう、私の名前も、
重みとなってしまって、ただの枷にしかならない。

「-、-」

言葉にならない。
声を出せない。
私の中には何かが詰まっていて、重くなってしまったはずなのにそれを出すことはできない。
まるで、泣くことが許されないようだ。
もうこの重みから解放されることはない。

ああ、私はもう、飛べないんだ。
悲しい、悲しい、哀しいなぁ。
ああ、ああ、ああ、ああ

「小鳥!!」
声が聞こえる。
「小鳥!!」
あれ、でももう私重いの。飛べないよ。
「小鳥!!」
もう、飛べないから。
「小鳥ぃぃぃぃぃ!!!」
私は、もう、ここにはいないよ。

いつだったのだろうか、私が自由に飛べていたのは。
そう、まだ幼いときだった。
私は何も知らなくって、軽かった。
幸せだった。
幸せなら軽くいられるのだろうか。
不幸せなら重いのだろうか。
知ることは不幸なのだろうか。


何かを知ることは、何かを失うことなのだろうか。

小鳥は飛べない 知りたくない

小鳥は飛べない 知りたくない

主人公らしき小鳥は何かの概念かもしれない。 もしくは人間かもしれない。 これは、読むと何かしら初心にかえることが出来るような物語・・・かもしれない

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-05-02

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND