王道ラブコメなんて信じない8

3人が昇降口で話しながら帰路に向かっている。
「何か無理矢理決まった感じがしますけどまぁ、結果オーライですね」
「まぁな、でも、よかったんじゃないか?」
「そういえばさー、星宮くんは何処に行ったの?」
「「職員室に用事があるから先に帰ってくれ」って言ってましたよ」

職員室に行くのは久々な気がする。ラインで教師に呼び出されるとは全く面倒臭いな。
「先生、ラインでわざわざ呼び出して何の用ですか?」
「お前に用がある人がいるぞ」
「海斗ー。空良が今日は居なくて寂しんだよー」
岸本が抱きついてきた。ウザイ。暑い。鬱陶しい。あと、また胸がでかくなってる。何食ったらそうなるんだよ。不良に譲ってやれよ。
「だから何?構ってほしいの?彼氏作れよ」
「海斗って釣れないなー」
「岸田。イチャつくなら別の所でやれ」
西宮先生が頭を掻きため息をつきながら注意した。
「悠子ちゃんは相変わらず厳しいなー。好きな人が出来たら変わりますよー?」
「おい、待て、岸田。俺を恋愛対象として見てるのか?気持ち悪いからやめろ。そして、爆ぜろ」
言い過ぎた気もするがまぁ、いいや。
「海斗酷いよー。まぁ、いいやとりあえず帰るかー」
「あぁ、じゃ、先生失礼しました」
岸本と腕を組み(固め)ながら帰路についた。

「海斗ー。新しい部活は楽しい?」
「まだ、1日目だし、まだ分からない」
「今の段階ではどうなの?」
案外いいけどな…。
「……。つまらないな」
「少し考えたよね?やっぱ楽しいの?」
「楽しくないよ。黙ってくれ」
図星だったのでちょっと強めに言ってしまった。
「部長と副部長は決まったの?」
「まぁ、一応な。成り行きで決まった感が否めないけど」
「ふーん。あ、もう家に着いたね」
マンションのオートロックを解錠した。

「あ、だな。岸田は今日も泊まるのか?」
自宅のドアを開け玄関に靴を脱ぎながらも話を続ける。
「うん。叔母さん達仕事でいないんでしょ?」
「まぁな」
「また、偏った食事してると体壊すし、作るよ」
「別にケーキだけでいいよ。俺は食べない」
小説書く上で糖分が必要だから摂取してるだけだ。
「また、そんな事言うの?食べなさい」
「あのさー。兄さん達が話すのは問題無いけど完全にカップルみたいだから止めて?」
『星宮空良』俺の1歳下の弟だ。高校は別だが空良はガチなゲーマーでメガネだ。俺の印税をゲームとアニメグッズで溶かす奴だが小説を西野さんに見せる前に見せたりしてるから、案外便利な奴。
「空良も相手して欲しいのー?可愛いねー」
「んじゃ、空良。岸田の相手しておいてくれ。任せたぞ」
俺は自室に向かい岸本は空良に向かってダッシュした。
「ちょ、兄貴っ!それはないよ」
「空良くーん。遊ぼー。お姉ちゃん寂しかったよー」
「ちょ、花梨姉やめてくれぇぇ!」
部屋中に空良声がこだました。どうでもいいが、うるさいな。

王道ラブコメなんて信じない8

王道ラブコメなんて信じない8

偶然と言う名の必然により集まったひねくれ者とその仲間達が起こす不思議な学園ストーリー

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-31

CC BY-NC-ND
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