「人狼のなく森」

人狼、それは狼に変化する人とも、人に変化する狼ともいう。
かつて人狼と人が共存していた時代があった。
人は森の周囲に住み人狼は森の深くに暮らしていた。
両者はごく稀に森の中でまみえることがあったが古からの約束事で争うことはなかった。
古の書物によれば人狼の出現は人間からだという。
今も昔も人は産んだ子を様々な理由で森に捨てた。
それを狼が拾い狼として育てた、
やがて狼に育てられた人と本物の狼が交わり人狼を産んだという。

しかし別の書物はこう語る。
人がまだ魔法の力を持ち様々な理に関わりを持っていた時代、
人と獣を合成し新たな生き物を作り出す一派が居た。
その時に生み出されたのが人狼だと。
過去の事実を知る手立ては多く残されていない、
そのため人狼の出現は謎に包まれている。

しかし今でも黒毛の人狼は強力な魔法の耐性を持ち、
その毛皮は魔術師の間では高値で取引されている。
黒毛のさらに上に行くのが白毛の人狼である、
これの毛皮は今ではめったにお目にかかることが出来なくなってしまった。

人狼たちが姿を消し始めたのはその毛皮のせいであった。
人狼たちは森の奥地で人のような暮らしと文化を築いていた。
彼らにとっても死んだ仲間の毛皮は魔術師らとは違う意味の価値を持っていた、
それは彼らが存在した記憶であり歴史であった。
人狼の皮を欲する者は人狼に敬意と好意を表さなければならない。
警戒心の強い人狼に、長い時間をかけ時には何世代にもわたって交流し、
信頼を勝ち取らなければならない。
その中で時には一人の人狼と深い交流を持つことがある。
友好の証として人狼が死したときに毛皮を受け取る資格が生まれるのであった。
それが古からの理であり人と人狼の約束事であった。

それが失われたのは人間が人狼の毛皮に価値を見出したからだった。
先に言った黒毛の人狼の耐魔法の能力は、
生きている間、魔術師の従者として最適であった。
一番生まれる数の多い茶色の毛の人狼はその戦闘能力が重宝がられた。
またその毛皮は防具として最高級品である。
そしてめったに生まれることのない白毛の人狼は
戦闘能力も耐魔法能力も格段に優れていた。
魔術師はこぞって人狼を求め、従わぬものは殺して毛皮にした。

以前は深い森ならば必ず暮らしていた人狼たちが
人々の前から姿を消すのは時間の問題であった。
人狼は人間を憎み、森で人に出会えば必ず殺すといううわさも流れた。
それらの真偽は明らかではないが、
少なくとも人狼が人を、特に魔術師を避け続けたのは間違いない。

その森は人狼の目撃情報がつい最近まであった森だった。
数少なくなった人狼の目撃情報の中で最後まで残ったのがその森である。
しかし人狼のうわさが出るだけあって、非常に深い森で迷いの森ともいわれた。
なんでも森の最深部は養分が少なく、森の木々たちが養分を求めて人を招くという。
木々は招いた人間が森の奥に迷い込み
力尽きるのを待ってその死骸から養分を得るのだといわれていた。
そのような恐ろしい森の入り口に一人の旅人が現れた。

赤い髪を顎で切りそろえた旅人は、
グリーンのコートを身にまとっていた。
片手にはトランク、片手には木の杖。
木の杖には謎めいた緑の石がいくつも埋め込まれており、
暗い森のなかできらきらと輝いていた。
緑のコートの男は悠々とした足取りで森の奥に向かった。
たった一人で暗い森に迷いこんだらあっという間に狼の餌食になってしまう。
それでも男は臆することなく森のなかを進んだ。
しばらく進むと森が開けた。そこは、黒く焼け焦げた村の跡だった。
男はは村の跡を見回し、祭壇らしき石組みの塔の前で立ち止まった。
そして直下の土地に杖で不思議な模様を描き始めた。
丸を書き五芒星を描いた。五芒星の周りに男は様々な宝石を置き始めた。
それが終わると様々な薬草や鳥の羽。最後に油を周囲に撒いて火をつけた。
「クヌフ、グリム、カフ、ザギン、アラマ、カイ、マホメティ」
どこの言葉とも何の意味とも解らない、古い言葉を男は唱えた。

炎が赤く燃え上がり、やがて青い光になった。青い炎は高く舞い上がり、その奥に狼の影を浮かび上がらせた。

「初めまして、私はアラムと申します」
「長き眠りから呼び覚ますのをお許し下さい」男はうやうやしく礼をしていった。
「この村で何が起きたのか教えていただきたいのです」
オオオオオという風のような不思議な音がした。
「ギイという男が全てを知っている」
「ギイを探せ、白い狼と居る」そういうと炎は消えてしまった。

森のそばの村のはずれに宿があった。
宿でリサは退屈していた。
アラムは昨日出掛けたっきりまだ帰ってこない。
宿の人のじゃまにならないように隅で静かに本を読んでいたが、
アラムが置いていった本はどれも難しくてちっともわからない。
リサは今年で十になる女の子だ。アラムは彼女の兄で魔法使いをしている。
魔法使いに憧れるリサは無理を言ってアラムに付いてきた。
しかし、本当に危険な地にリサは連れて行ってもらえない。それがリサは不満だった。
リサが退屈しきっていると、宿の入口から賑やかな声が聞こえてきた。
赤いターバンの男の子が楽器を持って歌っている。賑やかなリズムだ。
白い大きな犬がそばで踊りを踊った。リサは目を輝かせた。
白い犬は男の子の命令にしたがってくるくると回る。リサは拍手した。
男の子は陽気に笑うと「この子に乗ってみるかい?」といってリサを招いた。
リサは頷くと、しゃがみこんでいる犬にまたがった。「しっかり捕まってね」
そういうと男の子は小さなギターをかき鳴らした。
犬がぱっと走りだした。あっというまに森のなかに消えていった。
男の子は後を追う、しかし、彼もそのまま行方がわからなくなった。

夜になってアラムが帰ってきた。宿でリサがさらわれたと聞くと、
カバンの中から真珠のような石を出した。彼は短く呪文を唱えると、
その石を地面に転がした。石はコロコロと転がり、森のなかに転がっていった。
アラムはその石を追って森のなかに入っていった。

森の奥深く。誰も居ないはずの森のなかに明かりが見えた。
初めてアラムは慎重に歩みを進めた。明かりは焚き火だった。
そこには黒い髪を短く切り赤いターバンで巻いた少年が座っていた。
「誰だ!」少年は突然現れたアラムに怒鳴った。
そして腰につけた半月刀を引き抜いて構えた。
「女の子を返してもらおうか」緑のコートの旅人は冷ややかな声で尋ねた。
「よくここがわかったね」少年はいった。「私を試すためにここまで導いたんだろう?」
アラムは足元の白い石をひろった。「この石、二輪真珠だ」
「2つがセットで誕生し、その2つは存在する限り互いを呼び合うという」
「深い山奥の苔の上に生息する特殊な二枚貝からしか採れない、とても珍しいものだ」
「君がさらった女の子に一つ渡しておいた」ヒューと少年は口笛を吹いた。
「その真珠の呼び合う力でここまでたどり着いたのかい?こりゃ本物だな」

アラムは周囲を伺うが、リサの姿はない。「女の子はどこにいる?」
「安全なところにいるとだけいっておくよ」
リサに渡したはずの二輪真珠は男の子の手に握られていた。
「この森に近づいた魔法使いは生きて返さない」少年は半月刀を構え直した。
「魔法使いに恨みがあるのか?」アラムも杖を構える。
「残念だが、あんたに勝ち目はないよ」少年はいった。
「この森の奥に焼けた村がある。焼けた原因を私は調べに来たんだ」アラムはいった。
「そこは古くから人狼の村といい伝えられていた。何が起きたか君は知っているか?」
「教える訳にはいかない」少年はアラムに跳びかかった。
アラムは短く呪文を唱えた。杖が輝き、光が少年の目を直撃した。「ぎゃっ」
少年は身をかわした。そして茂みの中に身を隠した。「まて!」
アラムはいった「ギイという男を探している」「どこにいるか知らないか」
少年は茂みの中から答えた「なぜその名を知っている」
「村で人狼達の魂に聞いた」アラムは答える。
少年は姿を表した「ギイは僕だ」「長老達の魂を呼び出したのか」
「やはりと思ったが」アラムはいった「君がギイか」

「女の子を返してもらいたい」「一人で怖がっている」
アラムは短く呪文を唱えた「ギイ・グリラ」ギイの体が硬直した。
「何をする」ギイは半月刀を落とした。
「大した魔法耐性だな」アラムはいった「普通なら一撃で気絶する」
「魔法使いに本名を教えたのが間違いだったな」
アラムはギイに杖を向けた「女の子の居場所を教えてもらおうか」

「ギイに手出ししたらリサの居所は教えない」後ろから涼やかな声が聞こえた。
アラムの背後にいつの間にか白い髪の少女が立っていた。
「貴方がアラムさんね」「お名前はリサちゃんから聞きました」
白髮の少女はギイにいった「この人は敵ではない」
「(白髮か)」「(白い毛皮の人狼に魔法は効かない)」アラムは考えた。
「アラムさん、リサちゃんを返す代わりに私たちに協力して欲しい」

「わかった」そういうとアラムは杖を下ろした。


ギイ達は話し始めた。
ギイ達が生まれた人狼の村は古い歴史のある村だった。
かねての魔法使いによる人狼狩りから逃れるため、
村を点々と移動し放浪して暮らしていた。
ラアは村の長老の娘で、長老の家系は村でも唯一、白い毛並みを持つ血筋だった。
ラアには不思議な力があり、未来が見通せた。
そして白い毛皮は、強い魔法への才能の現れだった。
彼女は魔法を防ぐばかりか、扱う才能も持っていた。
ラアに結婚の話が出たのは、彼女が十二の時だった。
彼女の行末には村の未来もかかっていた。
その彼女が結婚相手にギイを選んだことは、村中の者にとって衝撃だった。


ギイは黒い毛の血筋に生まれた少年だった。
優秀な戦士になる者が多く生まれる名門の血筋のなかで、
ギイだけは密かに出来そこないといわれていた。
ギイは毛並みこそ黒いものの、音楽とダンスを愛し、
木に登っては弦楽器を弾いている変わり者の少年だった。
村では音楽やダンスは本来女のものとされ、
男は剣と弓の練習に明け暮れるのが当たり前だった。
また木に登るのは怯えた猫か弱虫の証拠とされ、忌み嫌われた。


この二人は幼い頃から仲が良かった。
ただ、それだけの理由でラアがギイを選んだわけではない。
「未来が見えない」そう父親にだけラアは打ち明けた。
「ギイ以外の村の男性の未来が見えないのです」
彼はそれを聞くとラアを抱き寄せた
「ラア、そのことは誰にもいってはいけないよ」
ラアの未来視は絶対だった。
長老である父親は村人に最大限の武装と、毎日の訓練を命じた。
この村の歴史を終わらせる存在に、少しでも多くの抵抗をするためだった。


ラアはギイと村の女たちとともに山の中に逃れた。
山に入れば長期戦も苦ではない。そう考えての事だった。
女たちは様々な保存食や薬の準備をした。

死神はある満月の晩にやってきた。
ピンクの派手なシルクハットに白い兎の耳をつけ、
ハートや星模様の派手なスーツには兎の尻尾、
イカレ帽子屋と三月うさぎを足して二で割ったような奇妙な格好に、
派手なステッキ、陽気に笑う好好爺のようなその男は、
ギイの村を一晩で火の海にした。

人狼は気持ちが高ぶると人から狼に変身する。
男はあぶり出した人狼を次々と捉えると、
一匹ずつ見せしめに殺していった。
囚えられながらも仲間を殺されるのを見た人狼は次々と狼に変身した。
森に逃れた女たちは散り散りに逃げた。
男らが殺されてもけして山を降りるなと命じられていたのだ。
悲しげな人狼の遠吠えがいつまでもいつまでも夜空に響いていた。


アラムは森の奥の洞窟に案内された。そこにはリサが居た。
リサは白い狼の毛皮にくるまってすやすやと眠っていた。
洞窟の奥には祭壇があった。アラムはピリピリとしたエネルギーを感じた。
「ここには何かあるのか?」アラムが尋ねると、ギイとラアは目を見合わせた。
「黙っていようと思ったが」ギイは祭壇の横の壁の土を掘った。
そこには深い青の色の宝石が首飾りになって隠されていた。
触るとそれはビリビリとしたエネルギーを発していた。
アラムはそルーペを出して観察した。それには魔法文字が彫ってあった。
「これを着けていると人狼が束になっても攻撃できない」「狼封じの石なんだ」
「僕らの村に伝わる一番の宝物だ」ギイはアラムにいった。

「君たちの村を襲った魔法使いに心あたりがある」アラムはいった。
「Kと呼ばれている男だ」「本名は誰にもわからない」
「どこから来たのかもわからない」
「わかっていることは私の命を狙っていること」
「そのためには手段を選ばないということだ」

「どういうことだ?」ギイは聞いた。
「昔、私はあることで巨大な事故を起こした」
「その時、彼の大切な人々を巻き込んで殺してしまったんだ」
「彼は私を殺すために魔力を高めている」「人狼を集めたのもそのためだ」

「俺たちは巻き込まれたってことか」ギイは悔しそうにいった。
「お前のせいで俺たちの村は!」ギイは半月刀を抜いた。「お前を殺してやる」
アラムは悲しげにいった「私の命でかたがつくなら、喜んで差し上げる」
「だけど、私にはリサが居る」「彼女が一人前になるまで見守らないとならない」
アラムは杖を取った。「争うのはやめて」ラアはいった。
「二人が争ってなんになるの?」

ギイはアラムを見つめると半月刀を収めた。
「僕は、仲間の仇を討ちたい」とギイはいった。「仲間の毛皮を取り返したい」
アラムはカバンから石の入った小袋を取り出した。
「Kの居場所を探してみよう」彼は杖で洞窟の床に魔法陣を書いた。
「月の光の魔女に伺う、大地をあまねく照らすその光の先に、Kの姿は見つからんや」
様々な石をそこにばらまいた。
不思議な事に石はすべて魔法陣の外に転がった。
「月の光の届かぬ所にKがいる」
「大地の奥か水底か」次にアラムは石の中から水晶を選び出した。
「水の女神に問う、水に包まれし大地にKの姿は見つからんや」
魔法陣の上で水晶は溶け始めた。やがてそれはある形をなして冷えて固まった。
「おそらくこれは湖の形だ」「月の光の届かない深い湖となると限られている」
「これは恐らくヴィア湖だ」
「ヴィアというのは東の島国に伝わっていた弦楽器の一種で」
「その形に似ていることから湖に楽器の名前が付いている」
アラムはカバンから地図を出した。
「東の島国は10年前の大津波で壊滅してしまった」
「今は海岸線もめちゃくちゃだが、ヴィア湖は解るだろう」
そういうとアラムは地図上から湖を見つけ出した「ここだ」
それは溶けた水晶の形にそっくりな湖だった。

「問題はどうやって行くかだ」
「大陸を横断する鉄道はジン国のこの街までしか行っていない」
「島に渡るには海を越えなくてはならないが・・」

「ジン国にとりあえず行ってみようよ」とギイはいった。

鉄道の旅は二週間続いた。リサはギイやラアとすっかり仲良くなった
リサを連れて行く事に最初ギイは反対した。
「俺たちだけでも危険なのに、小さな女の子は連れていけない」
その時ラアが耳打ちした、ギイは考えこんだ。
「黙っているのはフェアじゃない」ギイはいった
「ラアには未来視の力がある」
「未来といってもなんでも、見えるわけではなくて、」
「特定の未来が突然見えるということらしいんだが」
「今、僕らの未来が見えたそうだ」
「僕らが四人なら、四人共この地に戻ってくるという未来が」
アラムは考えた「(三人だと戻って来られない可能性があったのか)」
「(今までそれを黙っていたのか?)」
アラムはラアを見た。彼女はポーカーフェイスを決め込んでいた。
特殊な能力を持っているものは、それを他人に教える時、慎重になる。
未来が見えるともなると、それは慎重にならざるえないだろう。
しかし、例えば本当は四人が戻って来られないとしたら?
四人で行った場合、三人ないし二人しか戻らないとしたら。
それをそのまま伝えるだろうか。ラアの顔から表情は読み取れない。
「三人で行けば誰も帰ってこない」
ラアはアラムの心を見透かしたようにいった。
「これは本当。ご先祖様にかけて本当のこと」
「一つ教えてくれないか」アラムはいった
「リサは無事に戻って来られるのか?」
「リサが無事なら私はどうなってもいい」
ラアは目を閉じた。開いた時、瞳が真っ赤だった。
「彼女は大丈夫」赤い瞳は徐々に深い紫色に変わっていく。
「君を信じよう」アラムはそういった。

ジンの国についた。
この国でラアは白狼の姿になった。
ブラウンの多い髪の色で白髪は目立つのだ、
ギイとリサの黒髪も物珍しそうに見られた。
ギイは物珍しさを利用して街角で歌を歌った。
愛用のべべ(人狼の村で作られている小型の弦楽器)を鳴らし、
それに合わせてラアが踊った。
少年と白い狼の芸は評判だった。彼らはそれでかなりの額を稼いだ。

港に着くと私は海の向こうの島国に渡れないか聞いた。
ジンの人々はそれを聞くと笑いだした。行くことはいけるが
行ってどうする、あそこには何もないぞ。
東の島国は栄えた国だったのだが、
十年前の大津波で主要都市の大半が壊滅してしまった。
十年の間に国は衰退し、疫病が流行り、
住んでいた住民の殆どは難民となって海外に移動した。
アラムはそのことをよく知っていた、大津波を引き起こしたのは彼なのである。

彼はその時十歳だった。その時にはすでに強い魔力を持っていた。
しかし、その力の使い方をまだよくわかっていなかった。
アラムはその時、天体望遠鏡で月を観察していた。
何度と望遠鏡で合わせても月はすぐに移動する。
アラムは腹を立てた。そしてふと、月の動きを止められないかと思った。
月の力は強大だった。アラムが汗水流しても止めることはできない。
むきになった。父が使っていた魔法の杖を拝借し、それに意識を集中した。
最初、月が止まったのかどうかわからなかった。
森の鳥が起きだして、ぎゃあぎゃあと不気味な声で鳴いた。
空気がざわめいたように感じた。月がぴたりと止まっていた。
アラムは、今度は月を動かそうと努力した。
自分のしたことがひどく恐ろしかった、
必死に月に元通り動けと念じていると、ざわりとした感触があった。
月が動き出した気がした。ホッとしたのもつかの間、
月が静止したことで世界中に大混乱が起きていた。
最も大きな被害は津波だった。月が止まりその分だけ海の水が引き寄せられた。
月が動き出したことでその水が開放され、恐ろしい津波となって陸地を襲った。
一番被害が出たのは、東の島国だった。
魔法使いによってアラムは秘密裏に囚えられた。
死で償うか否かが審議された。
当時、魔法使いのトップであった魔女は、
アラムがまだ子どもであることを考え、重い罰を与えることを禁止した。
その代わり彼女が月に行き、
二度と止められることがないように、月を守るといった。
その時、アラムに死で償うことを強く迫ったのがKだった。

「人狼のなく森」

「人狼のなく森」

人狼、それは狼になる人とも、人になる狼ともいわれている。ある人狼の住む森で村が一つ消えた。その生き残りのギイとラアは仲間の毛皮を取り返すために、アラムという魔法使いを仲間にして旅立つ。(連載中)

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-30

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