恋模様
プロローグ
君と一緒に居れるなら他はいらないのに
それでも君は僕を選んではくれない。
君が好きでどうしようもなくて
僕であることを捨てて君の好みに近づけたのにそれでも僕にはまだ足りませんか?
君に好きな人がいるなんて考えたくないなんて我が儘なのかな?
好きな人がいても話してたいなんてダメなことなのかな?
君に相応しいのは僕なのに。
いつかは色褪せる思い出なのかもしれない。でも今の僕には君しかいないから…
何度でも繰り返そう…君は僕のだ。
繰り返しの始まり
「なん…で…」
声が出なかった。
それは決して喉が潰されていたわけじゃなく驚きによるものだった。
好きな人が、紗那が知らない男と楽しそうに話している。手をつないでいる。僕の知らない笑顔を向けている。
「………。」
付き合ってるわけじゃない。でもいつも隣にいたのは僕だった。
それで満足だった。
でも、もうそれすら叶わないなら。
と…
自分の中でどす黒いものに包まれるのを感じた。
憎い…あの男が憎い。僕と紗那の邪魔をするこの世界が憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
優の中は憎悪で満ちていた。
「あああああああああああああ!!」
優は咆哮し意識は途絶えた。
「あ…あっ…う…そ…」
手に感じる生暖かい感触で優の意識は戻った。
一面に広がる赤と、苦しげな紗那の表情。
(また、ダメだったんだ。)
何回目かも分からないけどこればっかりは慣れない。
血の臭いも紗那を■す感触も
全てが不快に感じる。
「紗那…またやり直しだね。次はちゃんとハッピーエンドにするから。待っててね。」
優はいつもの優しげな笑みを浮かべた。
恋模様