ふたりの絆(32)
後悔
アカリと別れた。
お互いの為には、仕方が無い。
そう決めたはずの決心だった。
人間は勝手な生き物である。
自分を正当化しようとする。
相手が悪いのであって、自分は悪くない。
被害者意識が芽生えるのだ。
ヒカルの心の中にも、そんな意識があったのだろう。
(もっと早く許婚のことを話してくれていたら・・・。)
こんなに苦しむことはなかった。
本音はどうか?
早く聞かされていたとしても、アカリのことを諦めることは無理だったはずだ。
アカリのことが、大好きなヒカルである。
(見守る愛より、奪い取る愛でもよかったのでは。)
そんなことも考えたりもした。
一方で、許婚と同居している事実。
その男に抱かれていると思うと、やり場のない怒りが込み上げてくるのも事実なのだ。
まったく知らなければ問題は無かったであろう。
現代の男女関係は、そんなものなのだから。
(心の狭い人とか、神経質な人。)
そう思われても仕方が無いのだ。
縁とか絆とか、かっこいい言葉は要らない。
(アカリのことが、好きである。今すぐにでも会いたい。)
後悔している、ヒカルだった。
→「運命の再会(Ⅱ)」をお楽しみに。 1/28更新
ホタル:ヒカルは、アカリと別れたことでかなり想い悩んでいますね。
確かに、好きな人が目の前からいきなり消えると、皆さんなら
どう思いますか?
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