真夜中のカフェラテ

一杯のカフェラテに世の中の縮図を感じてしまった

カフェラテの泡状のミルクの上に砂糖を落としてみた。
砂糖は泡の上に止まることなく、徐々に泡を押し開けミルクの下へと落ちていく。
重力を感じる瞬間。
砂糖によって押し開けられた穴が私の親指くらいになった時全ての砂糖がコーヒーに溶け込んだ。次の瞬間からミルクの泡はもう砂糖をどこにも行かせないように元どおりに平坦な泡に戻っていく。
閉じ込められた砂糖はコーヒーの熱さにもがきながら溶けてコーヒーと一体になった。
私はスプーンを取りカップに入れかき混ぜる。真っ白かったミルクの泡にコーヒーが溶け込み褐色に変わった。
ただのある喫茶店のコーヒーカップの中の出来事でしかない。
でも、世の中にはこのコーヒーカップと同じような出来事が起きている。

綺麗な女性だと手を出した男がその女の毒牙にはまり飲み込まれる。そしてその女の裏に隠れていた男に骨の髄までしゃぶられる。抜け出せない蟻地獄。そして、その光景を丸ごと飲み込むそれ以上の闇がある。騙された男、騙した女、それを操る男も一飲みにしてしまう。

このコーヒーショップでは私がそうだ。
カップを手に取り、一飲みにカフェラテをズルズルと音を立てて私は飲み干した。
次は私が潰される番かもしれないと闇夜に怯えながら…

真夜中のカフェラテ

真夜中のカフェラテ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-26

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