はなして

きみの喉はもう手放されている
野放しに
遠くではなく
近くへ、そして、ちかく、へ
よりによって
(線をまたぐ音)
見ることをやめるのではなく
その手にあるものを手放すべきだ
ヘルツを聞きたいわけではない

それも
声にならない声というやつを聞かせて欲しい
指揮者を演じるために
いろいろな経験をしてきたはずだが
届かない
目も、耳も
入れ替えたとしても
ちかくが違うから
歩く、そして、歩く
(少しずつ止まる)
そろそろ目が覚める
ねえ、はなしてよ
はなして
きみがどんな夢を見たのかを

はなして

初出:即興ゴルコンダ

はなして

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-24

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