ふたりの絆(29)

もう1人へのサプライズ

ヒカルがアカリにサプライズをしたことは、本文の中に書いてある。

アカリには申し訳ないのだが、ヒカルにはもう1人、サプライズをしてあげたい人物がいある。

由加里だ。ヒカルがお姉ちゃんと慕っていた女性である。

アカリとのことを相談する為に、久しぶりに再会した2人であった。

その席で、ヒカルは由加里の誕生日が近いことを知ったのだ。

「また一つ歳をとるんだよ。どこかにいい男いないかな?」

本音を話す由加里だった。

由加里は今度の誕生日で・・・歳になる。(怒ると怖いので歳は秘密にしました。)

ヒカルは、お世話になった由加里お姉ちゃんの誕生日に何かをしてあげたい。

恋愛感情抜きでそう思ったのだ。

(よし、花束をプレゼントしてあげよう。)

ヒカルは近所の花屋に出掛け、そこで1万円分の花束を予約したのである。

由加里の誕生日は平日にある。

お互いに仕事で忙しい為、4日前の休日にサプライズを決行することにした。

迎えた休日の朝、ヒカルは頼んでおいた花束を取りに花屋に向かった。

「用意できていますよ。」

花屋の奥さんが待っていてくれた。

「こんな素敵な花束、受け取る人は感激しますよ。」

ヒカルは照れくさかった。

「ありがとうございます。頑張ります。」

御礼を言うと、花束を車の助手席に乗せて、由加里が働いているパチンコ屋の駐車場に向かった。

由加里が出動してくるのはAM8時半頃だ。

ヒカルは駐車場で待機していた。

由加里の軽自動車が入ってきた。

ヒカルは助手席の花束を取ると、後ろ手に隠して由加里のもとに近づいていった。

「ヒカル君、どうしたの、こんな朝早くから。」

突然目の前に現れたヒカルに、驚いた由加里である。

「お姉ちゃんこれ。」

そう言って後ろ手に持っていた花束を渡す。

「4日早いけど、誕生日のお祝いだよ。」

照れくさそうに話した。

「本当に、私に?男の人から花束貰ったのは初めてよ。」

由加里は興奮していた。

そんな由加里の姿を見ていると、あげてよかったと心から思うヒカルだった。

「これからも宜しくお願いします。ずっと由加里お姉ちゃんでいてくださいね。」

ヒカルは花束を大事そうに抱えている由加里に頼んだ。

「いいよ。」

優しい顔で答えてくれた、由加里お姉ちゃん。

ヒカルにとって、2人目のサプライズだった。

                                       →「男同士の約束」をお楽しみに。  1/22更新

                                       ホタル:ヒカルは女性を喜ばせることがとても上手ですね。
                                           そして、シチュエーションがとてもかっこいいと思います。
                                           由加里お姉ちゃんもアカリも幸せ者ですね(笑)。

                                -29-

ふたりの絆(29)

ふたりの絆(29)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-22

CC BY-NC-ND
原著作者の表示・非営利・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-NC-ND