内省
「内省」
ずっと眼球の奥に蛆がはう音が聞こえる
しっ!静かにしたまえ!
君たちが騒げば、どこをはっているのか見失ってしまう
騒々しいまろうど(客人)
今こいつは、俺の体という体を隈無く吟味しようとしているのだ
君たちなのか内なるものなのか俺には関係ない
水面に投石された波紋がひろがるように
とかく、心臓が高鳴る、
霜解け路面の草木は
けぶれるように萌えいでて
泥臭い血が、蜂蜜のように鈍くめぐってゆく
ああ、心に弦が触れるよう
あらゆる感覚が研ぎ澄まされてゆく
あらゆる事象、この大自然の生きとし生きるものすべてが私に語りかける
震えているのだ
この寂寞たる海は私にかくかたる
万物は多弁、私は傾聴するもの
きっと奴め、成虫になりやがった
しっ!静かにしたまえ!
君たちが騒げば、どこをはっているのか見失ってしまう
内省