ふたりの絆(23)

赤いカバン

アカリはいつも鞄を持っていた。

どこかアンティーク風の、年期の入った鞄だ。

ヒカルは、いつもそれを見ていた。

(アカリに似合う鞄を探してみよう。)

そう思ったヒカルは、時間を見つけては店を歩いたのだが、

なかなか納得のできる鞄に巡り合うことができなかった。

そんなある日、ヒカルは友人が開いている店に寄った。

「洋ちゃん、鞄見せてね。」

「どうぞ、ご自由に。」

ヒカルが今使っている革の財布は、ここで買ったものである。

ヒカルは、店の鞄を手に取りながら見て回った。

店の奥まで行った時である。

ヒカルの目に赤いカバンが飛び込んできた。

それは、ヒカルの理想と一致した。

あえて、継ぎ接ぎ風に作ったもので、アカリのイメージにぴったりだ。

「洋ちゃん、これもらうから。」

「何、彼女へのプレゼントなの?」

「そのつもりだけど。」

ヒカルは笑いながら答えた。

そして、アカリの写真を見せたのである。

「かわいい子だね、大事にしなあかんよ。よし!そういうことなら安くしてあげるよ。」

洋ちゃんはそう言って、鞄を大きな袋に入れてリボンを付けてくれた。

「ありがとうな、アカリも気に入ってくれると思うよ。」

赤い鞄は、ヒカルの部屋に置いてある。

出番の来るその日まで。

                                     →「徳島と赤いカバン」をお楽しみに。  1/16更新

                                     ホタル:アカリにプレゼントする赤い鞄。
                                          気に入ってくれるといいですね!アカリは赤い鞄を
                                          もらってどんな反応をするのでしょう。
                                          でも、本当にアカリはうらやましい限りです。

ふたりの絆(23)

ふたりの絆(23)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-16

CC BY-NC-ND
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