畑仕事

 老夫婦は畑仕事をしていた。
 苗を1つ植え受粉させ水をやった。
 最初古い指南書には贅沢な肥料が必要とあったが水と少しのたんぱく質さえあれば大丈夫と知った。
 苗はすくすくと伸びた。雑草を刈ろうとしたが雑草の中で育てたほうが強く育つと聞いたのでそのままにした。
 背丈が夫婦より少し大きくなったところで根から刈り取った。ここからが大仕事だ。
 この生物は頭でっかちな実をつけている。ここからは指南本を見て慎重に行う。大きな実の前頭部を切り取って......、そして側頭部を......。
 老夫婦はやっと人間を完成させた。西暦4036年人類滅亡後の地球はN星人が移住してきた。地球はN星人にとって未開の地のため勝手がわからない。そこで人間の化石から遺伝子を取り出し栽培に成功した。人間はおろかな自尊心をとぱっらえばこんな扱いやすいものはない。
 ひと仕事終えた老夫婦は新しい召使の仕事ぶりを確認しながら、コウモリのエキスから作った紅茶で午後のティータイムを楽しんだ。

畑仕事

畑仕事

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-15

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