ふたりの絆(22)

ホタル

ヒカル本を作る

ヒカルがアカリとの付き合いの中で得たものがある。

それは『挑戦』することだった。

「諦めるのは簡単なこと。まず、チャレンジすることが大事なのよ。」

何かにつけて熱く語るアカリだった。

ヒカルが本を書こうと思った動機は単純なことだ。

「私たちのこと、本にできるよね。」

アカリがそう呟いたからだった。

ヒカルが物を書くのは、小学校の作文以来のことだ。

「何から手をつければいいのかな。」

困ったヒカルは本屋に足を運んだ。

数日後、真新しい鉛筆と消しゴム、そして大学ノートを数冊買い込んできた。

1ヵ月後、寝る間を惜しんで必死で書いた原稿が出来上がった。

原稿用紙80枚分であった。

ヒカルは、表のタイトルは『ホタルの贈り物』にすると決めていた。

アカリにメールをしたヒカルだった。

「裏表紙のタイトル名を考えてほしいな。」

アカリからの返事は、『2人の絆』だった。

これで、本の原本は揃った。

今度は、印刷会社を探さなくてはならない。

ヒカルは、そちら方面には全く伝がなかったのである。

ネットで調べたヒカルは、大垣市にある印刷会社に飛び込みで頼みに行った。

対応してくれたのが、社長の奥さん。

そして偶然にも犬を飼われていた。

この2つが幸いしたのか、ヒカルの無理なお願いを聞き入れて貰えた。

「お任せしますので、宜しくお願いします。」

そう言ってヒカルは深く頭を下げた。

2週間後、印刷会社の奥さんから電話が入った。

「校正が出来たので見に来てください。」

ヒカルは仕事の帰りに寄り、奥さんから仮の本を渡された。

「素敵な出会いをされたんですね。」

ヒカルは照れくさかった。

それは想像以上の出来栄えだったことを伝えたい。

ヒカルは、この本を3冊だけ作った。

1冊はアカリに、1冊はヒカルに、残りの1冊は天国のホタルの為に。

後日、ヒカルはアカリに本を手渡した。

世界に一つしかないヒカルの本である。

アカリが喜んでくれたのは言うまでもないだろう。

「ありがとう、宝物にするね。」

作った甲斐があったヒカルだった。

                                →「赤いカバン」をお楽しみに。 1/15更新

                                ホタル:ヒカルの挑戦する気持ちと実際にとる行動が
                                    なかなかかっこいいですね。きっと、アカリは嬉しかったと思います。

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ふたりの絆(22)

ふたりの絆(22)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-15

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND