私は傘をもっていない

優碧

──それは絶え間なく降り続けるもの


私の場合、いつも突然

気づいたときにはもう遅くて

全身ずぶ濡れ


「傘、いれようか?」

問いかけてきた少年は降りだしてもいないのに傘をさしている


「なぜ、傘をさしてるの?」

「濡れたくないんだ」


──私も濡れたくない




濡れてるよ


彼女に教えると、無邪気に笑った


あまりにも静かで心地よかったから気づかなかった


でも、彼の雨なら濡れてもいい


すると彼女は

あ、と言って
また彼の雨に濡れている



優しく降っている


恋は降る


──私は傘をもっていない

私は傘をもっていない

私は傘をもっていない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-15

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