ENDLESS MYTH第2話ー27

ENDLESS MYTH第2話ー27

Zin

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 どうにか人類を救うことはできないのか!
 一行が鳥人間を問いかけるように見つめる。けれども鳥人間も周囲の円盤に鎮座する異様な生命体たちも、彼らの要望に応えることができなかった。
「残念ですが、1つの種族を救うという行為はそう容易いことではありません。我々が敵としている存在によって、どれだけの宇宙と種族が消滅したか分からないほどです。きっと我々が把握していない種族、宇宙の消滅もあったことでしょう。
 こうして最期を看取られることもなく、消えた種族すら存在するのです。人類の運命が消滅する定めにあるのでしたら、それを見届けるのもまた、我らの組織の役割であり、貴方の宿命なのです」
 鳥人間の眼差しはメシアの戸惑いの顔に向けられた。
「何が定めだ!」
 真っ先に人類以外の種族へ噛みつくように叫んだのは、ジェフ・アーガーだ。デヴィルズチルドレンとの戦闘で、使用が結局できなかったアサルトライフルの銃口を、鳥人間へと突きつけた。
「今すぐ人間を、地球を救ってくれ。これだけの事ができるなら、人間だって救えるだろう!」
 と、暗闇を未だ移動する円盤の周囲を彼は見やった。
「転送技術、亜空間フィールドの形成、重力操作などは基本の技術に過ぎません。それと物質の分解もですね」
 そう鳥人間が嘴を閉じた刹那に、ジェフの手からアサルトライフルの姿が忽然と消失してしまった。
 鳥人間はジェフを見下ろし、まるで笑うかの方に眼を細くする。
「素粒子を分解しました。貴方の原始的なる武器はもはやこの世には存在しません」
 嬉しそうな鳥人間の声色である。
 唖然としながらも、意思をしっかりと抱えた瞳には、赤い炎のような光があり、異種族を圧倒するほどの迫力があった。
 ジェフが睨み付け、それを受け止める鳥人間が対峙する中、円盤の群れは急激に目映い光の中に駆けだしたかのように、闇が消え、トンネルを抜けた。
 そこはこれまでに経験したことがないほどに広大な空間となっていた。神殿の如く無数の柱のような円柱の光が眼の届く範囲を超えて上下に伸び、太さも数キロは超えていた。1つの柱を通り過ぎるのに通常時の人間の速度では数時間はかかるのだろうが、円盤の速度は人間の視覚が追いつかないほどに、高速で移動しているせいもあって、柱を瞬間的に通り過ぎていく。
 その中にあって、メシアは光の柱の中に巨大な人影が直立している事実に気づいた。
「街で化け物と戦ってた巨人だ」
 脳裡に巨大な軟体生物と死闘を繰り広げていた巨人が浮上してきた。
 メシアの圧倒されながら呟く声に、若者たちはハッと思い出した。
「まるでマネキンが並んでるみてぇだな」
 表現が子供っぽく、声色もまだ幼いイラート・ガハノフ。
「なんなんですか、これは?」
 弟に続き姉のエリザベス・ガハノフが鳥人間に問いかけた。
 ジェフとの対峙しから視線をずらし、黒髪の女性に素早く頭を移動させた鳥人間。
 が、問いかけに答えたのは鳥人間ではなく、人間のマックス・ディンガーであった。
「『ホルス・マシン』通称『HM』と呼ばれてい対デヴィル汎用人型兵器です」
 これに横のベアルド・ブルが補助するかのように言葉を付け加えた。
「人間ならざるもの、すべての敵なるものデヴィルとその忌まわしき子供デヴィルズチルドレンを掃討すべく開発された巨大人型兵器、それがHMだ。人型といっているがあらゆる形のものが製造されている。ここに並んでいるのはイヴェトゥデーションが所有、管理するHMだ。君たちが街で戦闘を目撃したのは、我々ソロモンが所有するHMになる。ここに並んでるHMの大きさはおそらくは20キロを超えている軽量型だ」
 平然とベアルドは説明しているが、20キロを超える巨大人型兵器など、現代を生きる若者たちにはとうてい理解できるはずもなく、ポカンとするばかり。
「そもそもデヴィルとかデヴィルズチルドレンとはなんなんだ。ステーションで僕たちを襲ったやつらのことなのか?」
 未だ人類を救うことを願うジェフが、苛立ちに近い視線を向ける。
「それはわたしではなく、彼に語ってもらったほうがよいだろう」
 と鳥人間が円盤の進む前方を見た時、1人の人間の姿が中空に浮遊しながら現れた。
「彼等がこの宇宙最初の生命体であり、宇宙最初の対デヴィル組織イヴェトゥデーションを組織した種族だ」
 爪の先が中空の人間を指し示した。

ENDLESS MYTH第2話ー28へ続く

ENDLESS MYTH第2話ー27

ENDLESS MYTH第2話ー27

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-14

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