記憶をなくした少女

チサ

ふと、時間が今あるな。こんな話があったら面白い。と思い、作りました。
まだ、一章のみです。今後書き進める予定。

記憶をなくした少女の過去とは。故郷に戻る彼女の記憶を取り戻そうとする謎の男の正体とは

第一章 隠された謎
 記憶というものははかない。私の記憶は二十二歳で止まっている。静岡生まれの私は十八歳で大学進学のために東京へ上京。四年間の学生生活はこれでもかというくらいの充実した毎日だった。ある事件が起きるまでは。
 私は大学四年生まで「ジョダンスダンス」というカタカナの多く覚えにくいダンスサークルに所属していた。当時、七歳だった頃に、母の知り合いの紹介でダンス教室に入ることになった。見学もせずにいきなり入らされた私は、ついて行けるはずもなかったが、母が毎週迎えに来るたびに、「踊って見せて」という無茶振りに応えようと必死にダンスをやった。そもそも、私自身興味は全くなかった。しかし、母の喜ぶ顔が見たいのだ。そんな毎日を過ごす私は、後々ダンスが好きになるのだが、説明はここまでにしておこう。話を戻し、私はその延長、趣味としてサークルでも体を動かそうと思ったのだ。サークルでは、毎年クリスマス前にレッスン終わりに渋谷の決まった居酒屋で後輩・先輩関係なく交流を深めるといった行事を行う。私は割とお酒は強い方ではあるが、さすがに毎日飲んでいるような男と比べればかなうはずもない。四年生最後のサークルの集まりに近いかもしれない。今日はとことん飲もう。と私は生ビールを口に当てた。案の定、飲み会は深夜まで続き、後輩たちは終電と言って帰っていく。私も、そろそろ帰ろうと思った。幹事の松浦に一言言おうと松浦を呼ぶと顔を真っ赤にした彼は「卒業前最後なんだから、もう少しいなよ」と言った。確かに、明日は土曜日で休みだし、いいか、とも思った。しかし、終電を残すと帰りはタクシーかオールかの選択肢しかない。オールなんてめんどくさい。やはり帰ろう。と思った。すると隣に座っていた薫が「私も帰るから、一緒に帰ろう」といってきた。彼女とは同じ学部で仲も良い。「本当?助かる」というと、薫はニッコリ笑い、立ち上がった。今日、彼女は来る予定はなかった。しかし突然来れることになり、私の隣に座り、「本当は友達と遊ぶ約束してたんだけど、ドタキヤンされちゃった」と少し怒った様子でいってきた。特にその件には触れないように「そっか」とだけ返した。彼女はあまり詮索されたくない性格なのだ。薫とはいつも一緒というわけではなく、サークルの時だけ、といった感じだろうか。学部にはお互い友人がいる。薫は自分のことを話さない。要は秘密主義。彼氏がいるのかすら知らない。しかしお互い詮索しないため、楽でいい。幹事の松浦に二人で抜けることを言うと「ええ〜」と渋ってはいたがかなり陶酔しているのか返事も合間であった。きっと帰ったことすらすぐに忘れるだろう。薫と一緒にお店を出た。室内と外の空気の温度差に身震いをした。寒い。ふっと携帯の液晶を開くと深夜一時を回っていた。「薫、終電大丈夫?」と聞くと、「私、あと七分で終電だし、もう走るのめんどくさいから、タクシーで帰るよ」と言った。「そうだったの?じゃあ私は電車で帰るけど、大丈夫?」もちろん、私はタクシーなんて払うお金もったいないと思ってしまう性格だ。「全然気にしないで。ゆっくり帰りたいし、ちょっと気分悪くてさ、休んで行くよ。」「え?大丈夫なの?それじゃあ、心配だし私ついてくよ。」そんな状態で友人を見捨てるほど私も悪魔ではない。「あ、気にしないで、いつもおお酒飲むと胃もたれみたいになるから、逆に一人にしてくれた方が助かる」さっぱりしている。こういうところ、本当に好きだ。「本当に?無理しないでね、やばくなったら、連絡でもしてね」連絡なんてくるわけないと思っていながらも心配している私はまだ人間性があるんだろうな、と冷静に思う自分が怖い。「わかった。終電間に合わないよ、またね、お疲れ様」と一言残し、薫はタクシー乗り場に足を進めた。「またね!お疲れ」手を振るとニコッと薫は笑い、タクシーに乗り込んだ。私も早歩きで駅へ急いだ。
 家に着いたのは、一時半過ぎだった。駅から一人暮らしのアパートまで5分程度。寒い中白い息を吐きながら長くも短くもない道のりを歩いた。一通りはまるでない。コンビニの明るい照明は眩しく感じる。何か買おうか、とも思ったが今は風呂、寝る、しか頭になかった。早く帰りたい。携帯の液晶を見ると、薫から「無事に家に着いたよ、ありがとう。」とメッセージが来ていた。よかった。しかし、電車の私よりも早く着いたのか、薫は国分寺に住んでいる。そんなものか、と思いながらも「お大事にね、おやすみ」とだけ返したら、アパートが見えてきた。ようやく着いた。と思った瞬間、突然、ドンッと凄まじい音ともに頭に激痛が走った。私は突然の出来事に把握できず、そのまま倒れ込んだ。痛い痛い痛い、なんだ、この痛さは、誰がこんなこと、っと必死に目を開けようとしたが、そのまま眠るように意識をなくした。手に握られた携帯には薫からの「おやすみ」というメッセージが表示されていた。一時五十二分だった。

記憶をなくした少女

記憶をなくした少女

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-13

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