ENDLESS MYTH第2話ー26

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 鳥人間が深刻に言葉を紡いだ刹那、暗闇の中に波紋が広がるかのように、光がゆっくりと円がを描き、外界の光景が姿を現した。
 一行はまるで巨大な窓の前に立ったかのように、視界のすべてが宇宙空間、そして死滅に近づいていく地球で埋め尽くされていった。
 未だ、地球の表面は核兵器の光が幾つも見え、火山噴火も終息してはいなかった。
「地球の現在時刻です」
 と鳥人間が嘴を閉じるか閉じないかで、一行の前に再び巨大な物が現出した。ホログラムなのだろうか、逆に巨大過ぎて見づらい、デジタルの時間表記であった。
 21時32分40秒を過ぎたところである。
 これを爪が鷹のように鋭い指先でしまし、鳥人間は説明した。
「歴史の観点から申し上げれば、マックス・ディンガー氏の知る、またベアルド・ブル氏が知る歴史はきっと、この時点での地球へのデヴィルの攻略は終結しているはずなのです。
 そうですね?」
 神父の顔を梟の丸い目玉が見た。
 これには神父も口ごもってしまう。未来から来訪した物が歴史を語る。これほど罪深いことはないからだ。
 現代の若者たちを一瞥してから、神父は鼻の頭を搔き、ぎこちなくしかし頷いてしまった。
「話すのですか!」
 驚きの眼でベアルドは上官を見た。彼もそれが組織としてもっとも行ってはならない行為だと自覚していた。
「あなた方の知る歴史は路線を変えてしまいました。すでに、あなた方の時間軸は消滅しているはずです。問題はないともわれますが?」
 冷静な顔なのか鳥の顔をしているので判断はつかない。けれどもベアルドを説得するには十分に説得力があったとみえ、若い兵士は口を、嘴に突かれたように閉じた。
 改めて、鳥人間は神父を一瞥する。
 多少、溜息交じりに頷いた神父は、メシアを見てから、まるでメシアに語りかけるように物語を語った。
「歴史は数時間前に地球の侵略行動は終焉していることになっているのです。わたしと彼の知っている未来では、18時54分に人類のデヴィルズチルドレンへの抵抗は停止、国連は完全崩壊しています。各大陸の大半は核兵器の破壊活動によって焦土化。生き残った人類はそれ以前の三分の一となっています。そこから人類の残党との戦いが行われますが、七日間で人類は完全なる敗北を見るのです。
 地球の敗北を受け、人類は暫定国際連盟を月面へ設置、デヴィルズチルドレンへの抵抗を開始すると同時に、人類の生存を賭けた脱出船団を形成、同時に太陽系の外惑星へ人類の移民を開始するのです。
 そこから人類は太陽系、外宇宙へと版図を広げ、人類は宇宙の他文明との交流が行われることとなり、結果的に人類は戦争と宇宙開拓を同時進行する時代へと突入するのです」
 話があまりに突拍子もなく、メシアを含め、ジェフと若者たちは唖然と口を開ける思いであった。
 これに鳥人間が頷いて付け加えた。
「そう。歴史はそうして物語を紡いでいくのです。人類は我々のような他種族と交流を持つことで同盟を結び、デヴィルに対する攻防戦を展開していくのです。
 ですが歴史は変わってしまいました。より深刻に」
 と、鳥人間の爪は再び地球を指さした。
「戦闘は未だ終息していません。それどころかアメリカ、中国、ロシア、中東を筆頭に核兵器を中心とする大量破壊兵器、化学兵器を使用した攻撃が増しております。さらには地球上での自然災害は歴史を逸脱し、深刻になる一方です。すでに我々が探知したところでは人類の死者数が史実を上回っております。このままでは地球、人類双方の死滅が予想され、歴史が大きく変化してしまう恐れがあります」
 人類の滅亡。それはメシアたちに突きつけられた紛れもない現実だった。

ENDLESS MYTH第2話-27へ続く

ENDLESS MYTH第2話ー26

ENDLESS MYTH第2話ー26

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-12

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