【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 7(2900字)
「命に別状は無い。そのうち目を覚ますだろう。」
ハチべえがそう言うので、マミとさやかは杏子が目覚めるのを待つ事にした。
マミはさやかに、自分が見た過去の話をしたかった。
が、さやかは第8世界でのことを覚えていないようだった。
「あの・・こんなことを聞いてごめんね。・・美樹さんはだれかを殺したいと思ったことはある?」
マミは直接聞いてみることにした。
・・マミがここにいる理由が3人を殺したせいだとすると、
・・考えるだに恐ろしいことだが、杏子やほむらも誰かを殺した可能性がある。
しかし、最初の被害者であるさやかは当てはまらない。
聞いても問題ないはずだ。
ミステリ小説でたまにある、死んだと思った人間が実は真犯人というパターンでなければ。
「え?なんで?別にないけど。」
思った通り、さやかは否定した。が・・
「ん?・・あれ?・・そう言われると・・?」
と、考え込んでしまった。
・・マミは自分でも不思議に思った。なぜ犯人でないと思ったさやかに、
こんなことを聞く気になったのだろう・・・・。
****
「あれ・・」
気の抜けた声を出して、杏子が目を覚ました。
「負けちまったか・・」
「杏子・・大丈夫?何ともない?」
「ああ・・わりぃ、心配かけたな。やっぱ無茶だったか・・」
「本当に・・・。」
「ごめんってば。・・よしっ、すっきりした!次は一緒に戦おうぜ!」
「へ?」
「なに?」
2人は顔を見合わせ、杏子を見上げた。
妙ににすっきりとした顔の杏子が笑っていた。
バーチャルリアリティ装置のある部屋。
「よし、ハチべえ、次は3人だ。」
「いいけど・・」
「心配するなって。痛みは魔法少女が受ける分だけ。」
「わかった。・・でもどうかしたの?いくら訓練してもあまり意味はないと思うよ。」
「いいーんだよ。意味とかは。戦ってすかっとしたいんだから。」
「ふーん・・」
「あ、あれ私にやらせてよ。もうやり方わかったから。」
「いいよ。」
ハチべえがうなずく。
「創造命令:仮想戦闘。参加者、全員。敵、なし。位置、中学校校庭。OK。」
「命令了解。」
3人と1匹は中学校の校庭にいた。
「とりあえず、修行しよう。で、ワルプルギスの夜に勝とう。」
杏子は胸をはり、言いはなった。
「ワルプルギスの夜!」
「ワルプルギス?」
「魔法少女にとって最悪の敵だ。」
杏子がさやかのために説明する。
「最悪で最強だけど、目標は大きい方がいいだろ。・・とりあえず、2人の最大の攻撃を見せてくれ。」
杏子が魔法少女に変身する。
「私からいく・・威力が解った方がいいか。創造命令:攻撃情報を数値で表示。OK。」
「命令了解。」
目線の高さに、半透明なディスプレイが表示される。
「いくぞ・・」
杏子の槍が青い炎をまとう。
「はあああっ!」
それを朝礼台に叩きつける。
朝礼台は跡形もなく吹き飛んだ。
「攻撃威力、10万。」
「さ、やってみろよ。」
マミとさやかも変身する。
「創造命令:朝礼台を自動修復。OK。」
「命令了解。」
朝礼台が復活した。
「さ、さ。」
「なんかなぁ・・ま、いいけど。じゃ、いくよ!」
さやかは2刀流で、朝礼台をバラバラに切り裂いた。
「攻撃威力、1万。」
「あれっ・・なんか・・」
「次は私ね。」
マミは巨大拳銃を出現させた。
「はーっ・・ティロ・フィナーレ!」
朝礼台は消滅した。
「攻撃威力、18万。」
杏子が拍手する。
「さすがだな。」
「ほんとうにゲームみたいね。」
「失うものは何もない。いくらでもコンティニューできる。だからゲームはいい!」
杏子が拳をにぎる。
「・・なんかあった?・・」
さやかが気の毒な人を見る目で、杏子を見る。
「何もない!でもゲームだって私は本気だ。」
「ゲームが一番本気なんじゃ・・」
「さ、打倒ワルプルギスの夜を目指して頑張ろう。」
さやかのツッコミは無視された。
とりあえず、ということでワルプルギスの夜と戦ってみた。
・・完膚無きまでに負けた。秒殺だった。
「やっぱ強ぇな・・」
「これ無理じゃない?」
「・・・・」
「ちなみにワルプルギスの夜にはレベルがあって、今のは割と弱い方だよ。」
ハチべえの言葉が追い打ちをかける。
「何!?」
「そんな・・」
「・・ありえない・・」
****
”属性2倍”の普通の魔女を3人がかりで何体か倒した後に、杏子が言った。
「ねぇ、攻撃するときイメージとか持ってる?」
「どういうこと?」
「私はさぁ、こう、『浄化してやる』ってイメージで攻撃してるんだ。」
「へぇ〜」
とさやか。
「打ち抜くイメージを持ってはいるけど・・」
とマミ。
「多分イメージが強くなればなるほど、攻撃力も上がるんだよ。・・だからちょっと恥ずかしいけど・・技名を叫んでいいか?」
恥ずかしそうに杏子が言う。
「いいけど・・」
「・・あの・・私はいつも・・」
「いくぞ。」
朝礼台を前に、杏子が槍を構え息を吸う。
「・・浄化してやるよ!・・ニーベルン・ヴァレステイ!!」
最初の時とは段違いの炎。
「攻撃威力、20万。」
「わぉ・・」
「やっぱな。でも、まだまだだ。」
「わ、私もやる。」
さやかが立ち上がる。
「えっと・・光輝く刃を喰らえ!・・シャイニン・スラッシュ!」
杏子とマミが爆笑する。
「え・・え?」
「攻撃威力、12000。」
「あれ・・?」
さやかはがっくりと肩を落とした。
「ごめんごめん。・・いや、落ち込むなよ。何回も攻撃すればいいじゃん。」
「そうそう、シャイニン・す・・ぷぷっ・・いいと思うわ。」
マミが必死に笑いを堪えている。
「マミさんひどい・・」
「ごめんなさい。なんか意外で・・本当に、ごめんなさい。」
マミが頭を下げる。
「いや、そこまで謝らなくても・・」
さやかが恐縮する。
「そうそう、お互いってことで。笑いたいときは笑う。笑われても気にしない!」
そう言って、杏子は再び槍を構える。
「・・人の心より現れる黒きもの、浄化の炎で燃え尽きろ!・・・・エターナルサンシャイン!!」
「攻撃威力、23万。」
「私も。」
マミが立ち上がる。
ゆっくりと腕をあげ、静かにステップを踏む。
「すごい・・」
さやかがつぶやいた。
最初はゆっくり、やがて軽やかにくるくる回る。
「踊りましょう。夜が空けるまで。」
マミがステップを踏む度に地面に光が生まれ、
「あ・・」
杏子の目線の先を、さやかも追う。
空に魔方陣が描かれていた。
「闇夜を照らせ・・ティロ・フィナーレ!!」
天空から幾筋もの光が降り注ぎ、朝礼台を貫いた。
「攻撃威力、33万。」
「すげえじゃねぇか。」
杏子がマミの肩を叩く。
さやかは・・呆然としていた。
「・・・・」
それを見た杏子が、さやかの背中をばーんと叩く。
「泣くなよ。私がなんかいい方法考えてやるからさ。」
「・・泣いてなんかない!」
しかし、さやかの攻撃力はなかなか上がらなかった。
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