【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 6(2100字)

「到着〜」
ハチべえが告げる。
無数の星が散りばめられた宇宙。その一角に、何も無い空間があった。
「これが・・」
「操船命令。恒星L2を速度0.07で連続射出。目標、前方空間。OK。」
「命令了解。」
無数の光の粒が、ブラックホールに向かって打ち出される。
光の粒はブラックホールに近づくにつれ速度を増し、
渦に巻き込まれるように引き延ばされ、流れ星のように消えていった。
「・・・・」
やがて、何も無い空間が、光の渦で満たされる。
マミはそれをじっと、見つめていた。


****


さやかは、目をさました。
見知らぬ天井。ここは・・・・
何があったか、よく思い出せない。
駅のホーム・・電車の中のホスト・・
・・が、妙にすっきりとした気分だった。

伸ばした手に、何かがぶつかる。
・・杏子だった。
「杏子?」
なぜこんなところに?
「杏子・・杏子!杏子!起きろ!」
・・私は魔法少女だった。杏子と殺し合い、魔女と戦い、・・
「・・あ?」
杏子が眠たげな目を開く。
・・・・恭介に振られた。心がしんと痛んだ。
杏子を揺する手が力を失う。
次の瞬間、ものすごい力でさやかは押し倒された。
「さやか。大丈夫か?無事だったんだな。助かったんだな。」
杏子がさやかを思い切り抱きしめる。
「ちょ・・何?」
さやかは顔をそむけようとしたが、杏子はさやかの頬を押さえつけ、
目をのぞき込む。
「良かった、元気だな。良かった・・ほんと良かった。」
ぼろぼろと涙をこぼす。
「何?・・どうしたの?」

杏子が落ち着くのを待って、2人は部屋の外に出た。
そして、マミに会った。
「マミさん!」
こんなところで会えるなんて。さやかの心は弾んだ。
しかし、マミは一瞬笑みを見せたものの、すぐに厳しい表情になった。
「マミさん?」
「・・美樹さん・・会えてとてもうれしい。」
寂しそうにそう言った。
「佐倉さん・・」
何かに耐えるように言葉は震え、うつむきながら言った。
「これは一体どういうこと?」
杏子がハチべえに訪ねる。
「・・久しぶり。ぼくはハチべえ。辺境生物保護団体LIBの活動端末だ。」

ハチべえはマミにしたのと同じ説明を、さやかと杏子にした。

「そっか。わかったよ。」
杏子はつぶやいた。
「え?・・」
2人がいぶかしがる。
「私はさ、『なんで自分がキュゥべえなんかと会っちゃったんだろう』って、ずっと思っていたんだ。」
「何で・・って。」
「だってそうだろ。キュゥべえに会わなければ、貧乏でも家族仲良く暮らせたかもしれないじゃないか。」
言葉が途切れる。
「私はずっと思っていた。自分は前世で何か悪いことをしたんじゃないか、って。」
話が随分飛んだ気がして、マミとさやかは混乱していたが、
杏子は納得したようだった。
「・・暴れたい気分だ。ハチべえ、この船にはバーチャルリアリティ装置積んである?
  魔法少女になって魔女と戦えるような。」
「もちろんさ。案内しよう。」
マミとさやかは、顔を見合わせた。
杏子の発想も、ハチべえの答えも、理解を超えている。

そこは教室ぐらいの大きさの部屋だった。
「誰と戦いたい?」
「今まで戦った魔女全部・・っと最後のはパス。強さは2倍で。」
「・・無茶するなぁ。死にはしないけどさ・・」
「痛みは普通の体が受けるままで。」
「・・気絶したら中止するよ。それでも100%安全じゃない。精神障害が残るかも。」
「かまわない。」
「ちょっと待って!」
さやかが叫ぶ。
「やってくれ。」
杏子は聞かなかった。
「創造命令:仮想戦闘。参加者、佐倉杏子。
  敵、位置情報は佐倉杏子の第9世界での記憶、最終世代より取得。属性2倍。痛覚最大。」
「命令了解。設定完了・・この設定により重大な精神障害が残る可能性があります。」
ハチべえは杏子を見上げた。
杏子はうなずく。
「創造命令:最後の敵情報は除外する。OK。」
「命令了解。」

それは拷問だった。
杏子は傷つけられて悲鳴を上げ、血を流し叫び声をあげた。
3人目の魔女を倒す頃には槍を支えに立つのがやっとだった。
「もう、やめて・・」
マミはハチべえに言ったが、ハチべえは首を横に振った。
さやかはとうに泣き崩れていた。

それから長い・・長い時間がすぎ、杏子が力尽きて倒れ、元の空間に戻った。
「杏子!」
さやかが駆け寄って、杏子を抱える。
「なかなか・・つらいな。・・・・体が・・重い。」
「もうやめてよ、こんなこと。」
「泣くなよ。」
涙でぐしょぐしょなさやかの頬を、杏子がぬぐう。
「ハチべえ、コンティニューだ。」
「もう・・」
「・・・・」
「コンティニューだ。」
「創造命令:再戦。警告無視。OK。」
「命令了解。」
さやかの腕の中から杏子が消える。
杏子は再び魔女と相対した。

戦いは何度も繰り返され・・。
やがて気絶した杏子を、マミとさやかが抱えて部屋まで戻った。

【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 6(2100字)

【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 6(2100字)

マミは宇宙船の中で、さやか、杏子と再開する。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-29

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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