PLANET NEWS LEVEL 7

徐々にギアを上げていけば、この軌道からも逸れるだろう。

それでも、いつまでも背中を見せずに
時には陽光を遮って、地上の生物を困惑させるのも
ちょっとしたいたずら心からだ。

小学校の保健の教科書に書いてあった気がする。
「反動形成」
好きな人には素直になれず、逆に嫌なことをしてしまう、って。
そんな言葉で説明されたところで
いたずらを止めることはできない。
素直になれないのではなく、
時にはいたずらをしたくなってしまうことが素直そのものだからだ。

人と人とが約束する永遠の愛、などというものは
人の夢でしかなく、はかないもの。
あなたたちが生まれてから死ぬまでの間は、ごくごく短い。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうのだから、
永遠の愛、などというものは
とてつもなく長く感じてしまう退屈な愛ではないだろうか。

とにかくギアを上げて、ギアを上げて、この軌道から…。

地球の恋人は、永遠の愛を誓った罰として背中を見せてはならない。


人の数ほど、と、星の数ほど、
どちらの数が多いのだろう。
親には必ず子どもがいるわけではないが、
子どもには必ず親がいる。
その親には必ず親がいて、その親にも必ず親がいる。
星もまたそのように
幾星霜、という文字が示すように
永遠の愛、などというものを親から子へと託してきたのか。

地球のお母さんは、お腹だけを子どもに見せている。
「お前が生まれてきたのは、ここだよ」って。

「ギアを上げる術など、とうの昔に宇宙のどこかへ置いてきたのさ」

PLANET NEWS LEVEL 7

初出:即興ゴルコンダ

PLANET NEWS LEVEL 7

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted