うんこ大王とおしっこ王子(王子学校へ行く編)(10)
十 お腹の中では
その頃、お腹の中では。
「大王。もう、体がもちません。少し、休憩させてください」
固体班の隊長が大王に進言する。
「作業はどこまで、終わっているんだ」
「すじ肉からこんぶまで一通り、吸収できましたが、再び、こんにゃくがやってくるとは思いませんでした。また、おでん三兄弟があらわれるんじゃないかと心配しましたが、噛み砕かれていたのでそのおそれはありませんでした。それでも、食べ物の量がはんぱじゃありません。なんとか、はんぺんまでは消化できましたが、まだ、じゃがいも、こんぶ、それに御茶漬けが残っています」
「そうか。まだそんなに残っているのか」
大王は目の前には、じゃがいもとこんぶとお茶漬けが巨大な山となって積み上げられていた。
「リキッド班はどうだ」
「はい」リキッド班の隊長が大王の前に駆け付けた。
「みんなの様子はどうだ」
「思った以上に水分が多いため、仕事はまだ残っています」
「そうか」
大王は、再び、じゃがいもの山、じゃが山を見つめる。
「いくらお腹が空いているからと言って、こんなに食べられたんじゃ、消化ができないじゃないか。主は一体、何を考えているんだ」
大王は怒りを覚えるが、それでも、このままにしておくわけにはいかない。大王自らが先頭に立って、
「とにかく、この目の前の、じゃがいもとこんぶとお茶漬けを片付けよう」と檄を飛ばす。
「アイアイサー」
固体班およびリキッド班の隊員たちは最後の気力を振り絞って、作業に取り掛かる。そして、ようやく、お茶漬けのごはんつぶを消化の穴に放り込み、お茶漬けの水分の最後の一滴を吸収した。
「大王。お、終わりました」
「こ、こちらもです」
固体班とリキッド班の隊長は大王に報告すると同時に、その場に倒れ込んだ。隊員たちは既に床に寝そべっている。
「みんな。よくやった。御苦労さまだ。ゆっくり休んでくれ」
大王もその場にしゃがみ込んだ。
うんこ大王とおしっこ王子(王子学校へ行く編)(10)