春の夢、夏の風、秋の色、冬の月

いつかのはなし


いのちってなんだろう

かたちが、あるものなのかな

どこかに、あるものなのかな

いつかはなくしてしまう、そんなもの



生命ってなんだろう

僕にも、君にも、犬にも、蟲にも、植物にも、あるもの

物はどうだろう

形ある、機能している間は生命って呼ぶんなら、きっとある



命ってなんだろう

受け取って、次の誰かに渡すもの

色々なひとに、ものに、置いて逝かれて

今度は自分が、色々なひとやものを、置いて逝く



何もしないで、ぼんやりと生きるならば、

いのちは斯くも長く

何かを成そうと、懸命に生きるならば、

いのちは短すぎる



終わってしまうなら

いつかはなくしてしまうなら

大切にしないといけないね



160108

厭う

人間という生き物が嫌いだ

人間の世界には人間しかいない

本質は残虐で傲慢で欲深い


男という生き物が嫌いだ

暴力的で踏ん反りかえり威張り散らす

どうしようもない程に馬鹿馬鹿しい


女という生き物が嫌いだ

笑ってる裏で嘲笑い嫋やかな肉で惑わす

阿呆らしい程に弱さを使う


老人という生き物が嫌いだ

頑迷で柔軟に欠けて押し付けがましい

死と虚ろが覗いている


青年という生き物が嫌いだ

このが世は我がモノ也と謳歌する

図々しいまでの単純さが苛立たしい


子供という生き物が嫌いだ

愛される為に生まれて来たと言わんばかり

直視することが嫌になる真っ直ぐさ



何より自分という生き物が嫌いだ

矮小で卑屈で自分勝手で愛せない

そんな自分が、一番嫌いだ


160115

囚われたくない


人間という生き物はつくづく面倒だ

金に振り回され

色に溺れ

賭け事に興奮し

権力を欲し

他者を羨み妬み

楽を求め

歴史や宗教や人種に

囚われる

煩悩は枯れる事のない、泉だ


あらゆる欲望が我々を生かし

衝き動かし

発展させ

そして、我々自身を殺すのだ



虚ろである事も嫌だが

自由でない事も嫌いだ

囚われたくない

囚われたくない



160122

魚の影

ーー東京科学博物館地球館のどこかの踊り場より



石の中に魚の影がとじ込められている

まるでついさっきまで

ゆらゆらと泳いでいたかのような


寄り添う二尾

遊ぶ小魚たち

なんでここに水がないんだろう


永遠に時を止めた影

今も、水底の夢をみている



160417

春の夢、夏の風、秋の色、冬の月

春の夢、夏の風、秋の色、冬の月

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-09

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  1. いつかのはなし
  2. 厭う
  3. 囚われたくない
  4. 魚の影