ふたりの絆⑰

ヒカルの誕生日と喧嘩

ヒカルは初めてアカリと喧嘩をした。

喧嘩の原因は、ヒカルの勝手な思い込みによるものだった。

しかし、男の心情からずれば当たり前のことだと思うが・・・第3者の意見が聞いてみたい。

ヒカルの誕生日は9月27日。

アカリにはそれとなく振っておいたヒカルである。

「何かしらアクションはあるだろうな。」

期待をしていた。

それだけの仲だと思っているし、それだけのことはしてきた。

迎えた誕生日、1日待っていたが何もない。

後日、アカリに電話を入れた。

「もしもし、元気にしてるかい。」

「はい、元気ですよ。」

何も変わらないアカリの声。

ヒカルはストレートに切り出した。

「アカリ、僕の誕生日覚えていたかい?」

「忘れるわけないよ、覚えていました。」

そして次に言った言葉に唖然としたヒカルであったのだ。

「ごめんね、忙しくてメールも出来なかったの。」

忘れていたのなら仕方がないが、忙しくて出来なかったとは許せない。

「アカリの思いは、それだけ軽いものなんだな。」

「自己中心過ぎるところが、アカリの欠点だと思うよ。」

ヒカルは少々きつい言葉をアカリに言った。

「そんなことヒカルに言われたくない。」

アカリは怒った様子だ。

「僕がどんな気持ちで待っていたかを考えろよ。」

売り言葉に買い言葉である。

「もういいよ、何を話しても無駄だから。」

ヒカルは電話を切った。

ヒカルの気持ちの中には、アカリと喧嘩する気など毛頭無かった。

ただ、これだけ仲良く付き合っていたアカリから誕生日に何もしてこなかったことに

腹が立つよりも淋しくなったのが本音であった。

同世代の男性なら判っていただけるのではないだろうか。

その反対にアカリと同じ世代の女性は、ヒカルみたいな男をどう思うだろうか。

「ヒカル、ごめんなさい。」

ヒカルがアカリと仲直りしたのは、いう間でもない。

アカリからのメールがきっかけだった。

                                    →「再開Ⅰと毛糸の帽子」をお楽しみに。  1/8更新

                                    ホタル:アカリとヒカルも喧嘩をすることがあるんですね。
                                        でも、それは確かにアカリはひどすぎますね。
                                        そんな2人、すぐ仲直りできる絆をもってるのは正直
                                        すごいなと思います。

                                -17-

ふたりの絆⑰

ふたりの絆⑰

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-08

CC BY-NC-ND
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