包み紙の宝
包み紙の宝
「これあげるよ。」
会社の上司に手渡されたのは、お菓子と包み紙と説明書きでした。
包み紙までくれるの? と不思議に思っていると、
「これTさんが持ってきてくれたんだけどね。とっても良い包み紙だからとっておいたんだよ。」
よくよく包み紙を見てみると、お正月の水引がついていて、優雅な和歌も書かれていました。
「エッセイの参考になるかな、と思って。」
うなずく上司の微笑みに、思わずはっとしました。
これこそ宝と思いました。
私は最近エッセイを書いていろんな人に見てもらっています。
お金をもらっているわけではありませんが、見てくれた様々な人から感想をいただくと、ありがたいなといつも感じています。
そして、多くの人の心があたたまるようなものを書こうと日々奮闘しています。
そんな私の活動を応援してくださった上司の気持ち、そのうえお菓子の包み紙をとっておいてもらった心遣いが、とても宝だと思いました。
もちろん、ご褒美などをもらっても嬉しいと思います。
けれども、これはそれよりも嬉しくてまさしく宝なのです。
まず、素敵なお菓子と包み紙を作った人に感謝です。
それを選んでお土産にしてくれたTさんに感謝です。
その素晴らしさに気が付いて、それを必要としている人の顔を思い浮かべてくれた上司に感謝です。
包み紙は、私の手元に来るまでにこんなに思いやりにあふれながらやってきたのです。
包み紙をとっておいてくれたというさりげない応援は、きっと本当に共感して良いと思ってくださったのだと感じました。
とてもありがたいと本当に思いました。
私は声を大にして言いたいです。
お金よりご褒美よりも、この包み紙に込められた気持ちが宝です、と。
応援してくださった方々と、感想をくださった方々、目を通してくださった方々、全員が宝です、と。
この宝を心の中でこれからも大切にしていたいと思います。
包み紙の宝