第7話 仕組まれたデート2~急接近~
かねてから希美子が見たがってた「うみねこホームズ」の映画版を…
まさか担任とみることになるなんて…。
と戸惑いつつも、希美子の心の中では「担任」という感覚ではなかった。
もはや、自分の悩みを共有してくれる「理解者」。いや、それ以上かもしれない。
「どうだった?」
「すんごくっ!面白かったです!!小説で読む面白さとはまた違った面白さがあってすごくよかったぁー」
二人は映画館を出た後、近くのファストフード店にいた。
ポテトをかわいらしく食べる希美子にふっと笑みがこぼれる隆乃介。
この光景って…まるでデートだよな…。
周りから見たらカップルに見えるのかな、俺たち…って先生と生徒だからっ!!
とふと思ったことを一生懸命制する隆乃介。
「あぁ、そう言えば…例の夢、まだ続いてるの?」
「それが…昨日は熱があったせいか、見なかったんですよ…まるで手がかりゼロで…」
「そっか…それとは関係ないかもしれないけど…実はね…」
隆乃介は昨日見た夢の話を希美子にした。
何となく驚いたような、そんな表情の希美子。
「なん、か…リンクしてる気がする…」
「え…そ、そう?」
「何となくだけど、目線が私か、先生かの違いで…夢がリンクしている気がする…」
言われてみれば…隆乃介もそう感じた。
「でもさ、夢に出てきた俺は17歳だよ?そのころに君に会ってたかと言われると?」
「……記憶、ないです……。」
「でしょ?だから、なんかの偶然なんだよ!きっと。あまり気にしないほうが良いかもしれない…」
と、しか隆乃介は言えなかった。
そんな過去に希美子に会った記憶もないし、ペンダントに見覚えなんて…
……あった……。
そうだ、死んだ母の形見を小さな女の子にあげた記憶がある。
でも…そんなことを今ここで言っても信じてもらえない…気味悪がられるだけだ。
それに鮮明ではなく、断片的にしか覚えていないのだから…。
「先生…?顔色悪いですよ?大丈夫ですか?!」
「え、あぁ…大丈夫だよ…今日はもう帰ろう…送っていくよ、どうせ方向一緒だし。」
「は、はい…」
帰る途中、二人に会話はなかった。
考え込んでいる隆乃介を見て心配そうに隆乃介を見つめる希美子。
前を見て歩かなかったせいか、希美子はちょっとよろけてしまった。
「あっ!!!」
とっさに希美子を抱き寄せる隆乃介。
「…!!!!」
あまりにとっさの事で希美子はその場を動けずにいた。
「大丈夫!?」
隆乃介の顔が今までと比べ物にならないくらい近い…急に希美子は顔が熱くなった気がした。
その後は何事もなかったように解散したが、
さっきの、抱き寄せられたことが頭から離れなくてその夜は眠れずにいた希美子であった。
「もしかして私…柴田先生の事…」
第7話 仕組まれたデート2~急接近~