Last World
時は2030年。世界は発展し続けていた。
しかし、私たちの自由は日に日に拘束されていく。それは機械、非承認インターネット使用禁止法、TV禁止法…。
そして私達の知らないところで世界は動いていたのだった。
エピローグ
私はどれほど長く生きただろう。第二次世界大戦を生き抜き、この土地の平和な時代も見てきた。いや、比較的生きやすく平和に見えた時代というべきだろうか。
そして、私はこの世界の凄まじい発展も見てきた。ラジオがテレビになりテレビがパソコンになり小型端末になり今はその先を行く。
戦いの武器が銃や戦闘機から核兵器に変わり核兵器は細菌兵器になり今やその先へ人類は進んでしまった…。
時代は目まぐるしく変わっていった。もちろん人々の暮らしも変わっていった。
そして、今また人類の暮らしは変わろうとしている…。いや、変わろうとしているのではなく、破滅に向かっている。確実にそう言える。
「はぁはぁ、私も老いた…。まさか軍隊を送って来るとは…。」
1人の傷を負った浮浪者の老人はこの寒い空の下でまさに息耐えようとしていた。
「誰か、誰か、頼む。誰か来てくれ。頼む。神よ私に…」
老人は神に祈った、誰か自分の秘密を託せる者が死の前に現れてくれることを…。しかし老人は今や軍隊に追われる身であり隠れている。こんな人気のない路地に。
もう絶望的だと老人は思った。このまま死んでしまうのか。いやその前に軍隊に囚われるのだろうか…。そう思っているうちに老人の意識は朦朧とし始めたその時だった。
「おじいさん大丈夫ですか?」少年は路地に倒れたじいさんに声をかけた。老人は朦朧としていた意識を正常に戻すことがその声でできたのだった。
「これをこれを反政府の人間に渡してくれ…彼らは必ずいる。だから探して渡してくれ。必ずだ…。」老人は最後の力を振り絞って少年に彼の持つ秘密を渡した。
「僕がですか?ぼっ僕は普通の高校生です…とにかく暖かいところに…」少年は渡された物を返そうとしたが老人は彼の手にしっかり預けることしかしなかった。
「ダメだ早く行ってくれ、もう時期、軍隊がここに来てしまう。来てしまって君もこれも持ってかれたら終わり、だ。だから、早く行ってくれ…ほれサイレンが聞こえるじゃろ。」
遠くからサイレンや数多い足音が近ずいて来たのがわかった。少年は何がなんなのかわからないがとにかく老人を連れて逃げようとした。だが少し遅かった。後ろから銃を持った軍隊が走って向かって来たのだ。
「早く行け!」老人の声は死にかけた人間とは思えないほどハッキリとしているなと、少年は思った。
少年は弾かれたように立ち上がり託された物を持って前へと走り出した。
「どうか頼むぞ。どうか。」
老人は彼の後ろ姿を見送った…。そして迫り来る運命に従ったのだった。
少年は走った。後ろから来る人間を振り切るためにできるだけ速く走った。
そして彼は聞いた。ずいぶん後ろで銃声がいくつも聞こえたことを…。
少年はその日、普通ではなくなったのだ。
そして世界は再び動こうとしていた。
2030/12/25
第1話 この世この人ら
「はぁはぁっ…なんで僕はこんな状況なんだ…。はぁはぁ」少年は細い路地を一目散に駆けていた。
今日は12/25世間ではクリスマスで僕も友達と遊んでいた。そして今は帰り道だ。まだ外は明るい。僕の家は親が厳しくて夜まで遊ばしてくれない。もう高校生なのにだ。まあ、3度目の戦争が起きるんじゃないだろうかっていう今この頃は世間の治安は最悪になっていた。だから親の言うことに納得している。
そして今日も普通に帰っていたんだ。いつもと同じいつもと同じはずだった。友達と帰って、別れていつもと同じ風に暗い路地を歩いているだけだった。
1人の死にかけの老人を見つけるまでは…。いや、声をかけるまでは。
「おじいさん、大丈夫?」僕は地面に倒れているおじいさんを覗き込んだ。服はボロボロで体もそうとう痩せていた。きっと何日も食べていなかったんだろうことはすぐにわかった。そして、意識も薄れていた。
しかし、僕が声をかけた瞬間彼は意識を正常にして、
「これをこれを反政府の人間に渡してくれ…彼らは必ずいる。だから探して必ず渡してくれ。」と僕に告げながら小さな四角いチップを渡した。
僕は一度返そうとしたが老人はそれを許さなかった。それどころか、老人を助けようとする途中で軍隊が銃を持って走って来るのが遠くから見えた。
老人は僕に「早く行け!」と力強く言い放った。
そして、今僕は彼の言うとうり逃げている。
パッツ!パッツ!銃声が随分遠くから聞こえてきた。
僕はきっと彼が殺されたんだと、認識した。だから、もっと速く遠くに…
「どこまで逃げれば!軍隊さんたちはぼっ僕の顔を見たんだろうか?!速く速く逃げないと…。」僕は今半分くらいパニックだったのがついさっき。
ガツ…何か硬いものにぶつかって後ろに転けた、けれど僕はそんなのを無視して走り出そうと立ち上ろうとしたが腕を男に掴まれた。
「おい!あんた急いでんのは分かるけど、この高いギターにぶつかっておいて無視か?」
男の隣にいる僕がぶつかっただろう黒髪の女が強い口調で言った。
「すっすみません、急いでたから…。」
「そんなの関係ないでしょう。」こんな時になぜぶつかってしまったのだろう。女は怖い顔で僕を見る。男も僕の手を離してくれない。
「ごめんなさい、すみませんが僕は今とても急がなきゃ行けないんです。本当に。だから手を放して下さい!」また遠くからサイレンの音が近ずいて来るのが聞こえた。
僕は確実に追われている…。
「君さ、追われちゃってる?サイレンが…」手を掴んでた男が僕に問いかけた。
「とにかく放して下さい!」
「いいよ、放してあげてもさ。でも多分見つかるぜ!」男はそう言うなり女と共に近くに置いていた外車に僕を強引に押し込んだ。
「ちょっと!何してんですか!?誘拐する気ですか??」
「バタバタしないで!あんたは頭を車の外から見えないように引っ込めてな!」女は強い口調で言い放つ。
「大丈夫さ、姉さんも僕も君を逃すだけだ!」
そう言うと、男は強くアクセルを踏んだ。
僕は今この2人の車の中にいる。1人は黒髪が長く切れ長のめの女、もう1人男の方は茶髪で大きな目をした世にいうイケメンな感じの男だった。
「あの、ありがとうございます。助けていただいて。」
「いや、私らは軍隊様が単に嫌いなだけ。だからちょっとしたイタズラ気分だよ。」
女はそう言ってにこりと笑った。
「私はハンナ デルシア。こっちは弟のダミアン デルシア。あんたの名前は?」
「カイ。カイです。」
僕は下の名だけ告げた。
第2話 良い人?
「カイか、よろしくな、ダミーて呼んでくれ。」
Last World