ふたりの絆⑭

欲望とアカリの恋愛感

アカリの恋愛感は少し変わっていた。

ヒカルとアカリは仲良しであり、誰が見ても恋人同士に見えるくらいである。

それでもアカリは、キスのひとつも受け付けてくれないのだ。

「アカリ、ほっぺにキスしてもいいかい?」

ヒカルが頼んだ時のことだ。

「私、キスは嫌いなの。」

素っ気なく答えるアカリである。

ヒカルはアカリに聞いてみた。

「今まで、恋愛の経験があったのかい?」

「一応あったよ。」

そう答えるアカリに、さらに踏み込む。

明かりの性格上の問題でもあるが、小さい頃から引っ込み思案で

自分の方からはいかないし、他人に譲るタイプだった。

今までにも恋愛はしたが、男の方はアカリの体が目的だったようで

すべて駄目になったとのこと。

アカリの、その場の空気を読む力が不足しているのも原因のひとつだ。

アカリは現時点で処女である。

それがいいのか悪いのかは、誰にも決められないことだ。

ただ、アカリの恋愛感を聞いたヒカルは感じた。

「アカリは、まだ子供なんだな。」

ヒカルも男である。

好きな女性となら、キスもしたいしSEXもしたい。

普通の男なら、誰でも抱く欲望だ。

いや、欲望より本能といってもいいだろう。

女性にしても同じことだと思う。

好きという感情が高ぶれば、そうなるであろう・・・。

アカリは、ヒカルに恋愛感情を持っていないのかも知れない。

特別な仲の良い人・・・それ以上でも、それ以下でもない。

ヒカルはアカリに恋愛感情を抱いていた。

運命の出会いをしたときからである。

しかし、アカリの恋愛感を知って悩むヒカルである。

(一方通行の恋になるな・・・。)

でも、考えても仕方がないことだ。

流れに身を任せて、アカリが受け入れてくれるのを待つしかない。

ひょっとして、その前にお別れになるかもしれない。

(アカリがもう少し、大人だったらな。)

自分の欲望を優先するヒカルだった。

                            →「お墓参りとアカリの気持ち(前半)」をお楽しみに。 1/3更新

                            ホタル:アカリの恋愛感は一般的にゆうとずれていますね。
                                そんなアカリに恋をしたヒカルはとっても大変でしょう。
                                なんだか、すごく切なく・・・でも、暖かく見守ってあげたい!

                             -13-

ふたりの絆⑭

ふたりの絆⑭

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-03

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