僕らの夏 執筆中
出会い
私こと、茨城勇太17歳はとても素晴らしいとは言い難い高校生活を送っていた。
茨城勇太、そう、彼はとてつもなく不幸なのだ。
顔はどちらかといえばイケメンなのでもてそうなものだが下のリストを見てくれ
*茨城不幸目次録
1、入学初日、遅刻して慌てて教室に入ると教壇につまづいて手を伸ばした先にあったのが幼なじみの藍原楓のつつましい胸が、、、
次の日から学校では茨城変態の烙印が、、、
2、1年生の文化祭藍原楓とともに買出しに行っていたらたまたま、不良の集団にあって帰ってを守るために前に出て、輝かんばかりの勝利を、、、、、得る、、、、、、ハズだった
というのもなんと次の日から学校で出た噂は
茨城が不良をボコボコした、ヤバいやつだというものだ
3、二年生クラス替え
藍原楓の隣に座る→遊びに誘う→ナンパの噂→超変態の烙印が、、、
などなどと、何故か藍原楓が絡むととてつもなく不幸なのだ
あぁ、藍原楓はすべて事故という形で処理してくれている。
しかし、考えてみれば付き合っているわけでもないのに何故かいつも藍原と一緒にいるような気がした。
「ダメだダメだ。そんなことを考えてはいけないよ、俺。本物の変態になっちゃうからな」
4月12日
今年も藍原と同じクラスであった。
また今日もいつも通りの生活であった。
学校につき、筆箱を取り出すとシャー芯が全く入っていなかったりという具合に。
その他様々な不幸が舞い降りてきたが何とか放課後までありついた。
これで、不幸に巻き込まれる確率は3分の一にはなった。
帰り道、茨城はいつも家の関係で藍原ともうひとりの幼なじみ天野 弘樹と帰っていた
「なぁ、勇太はどうしてそんなにアホで馬鹿で不幸なのだ?」
藍原が口を開いた
「俺もそれ思う。なんかさ、近くに置いておくだけで不幸よけになる程だぞ。」
「はぁー、俺にそんなこと聞かないでくれよ。俺だって不思議なぐらいだよ。」
「まぁ、不幸除けにはなるからいいけど」
いつも通りの嫌味口調の藍原だ。
「それもそうだな。」
弘樹もそれを否定しない。
もちろん茨城本人も否定する気はサラサラない。
否定するだけ無駄なのだ
まぁ、こんな呑気に話して入るが藍原もいろいろと複雑な家の事情があるのだ
そしてこの時はまだこれから先あんな事になるなんて誰も知らなかっただろう。
4月15日
始業式から1週間。茨城の不幸ぶりは目を見張る様なものだった。しかし、今日この日、この日だけは茨城は不幸という単語を口に出すことをためらった。
理由は至極単純にしてそれゆえに残酷。
藍原の母親が死んだのだった。
いつもは明るく振舞っている藍原だが、幼い頃に両親が離婚していて、母親ひとりで育て上げられたという、複雑な家庭環境があった。
それでも、藍原にとって母は唯一の家族であった。
それを失ったのだ。それを失うという事は単に家族を失うだけではない。
その死因は火災による焼死。
藍原が買い物に行っている間に、放火犯にやられたのだ。
つまり、衣住はもちろんバイトをしていない藍原は生活そのものを破壊されたのだ。
たった1人の頭がおかしくなった放火犯のせいで。
そのため、当然といえば当然だが、藍原は今にも崩れさりそうなほど元気がなかった。
「あ、藍原。?」
声をかけて見るものの帰ってくるのはこの世の深淵から響いてくるような一言だけだった。
「今は、一人にして……」
そんな日でも時間は無情に過ぎていく。
放課後、茨城は職員室に呼ばれた。
藍原についてのことだった
「茨城君。本来ならもっと遠回りに言うべきかもしれんが敢えて単刀直入に言おう。」
一息置いて次の言葉が発しられた
「このままじゃ藍原は親戚の間をたらい回しにされる。君も知っているだろうが元々彼女の母と親戚との仲は悪い。快く引き取る人などいないだろ。ここで一つ提案なんだ。
その、藍原をお前の家に住まわせてやれないか?」
「はい??」
頭が破裂するかと思った。
「学校からの生活補助金が出るし、私もできる限り手伝う。それに、君のご両親は海外にいるんだろ?1人ぐらい住まわせても問題は無いはずだ。もちろん無理にとは言わない。だが、考えておいてくれ。」
茨城は決して頭が特段いい訳では無い。だが、ひとつ感じたことがあった。
この教師は悪意がある訳では無いのだろう。だが、茨城はその言葉はあまりにも無責任に感じた。要は金は出すからあとはどうにかしろということだろ。
だがだからといって、放ておくわけにもいかない。
「たくっ、どうするかな」
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