世界が終わり、平和に続く
 Aは絶望していた。恋人はおろか友人すらできたことがない。会社では怒られてばかり、後輩にもなめられている。
 不公平だ。世界はもうオワッテル。金持ちやイケメンしか優遇されないこんな社会は狂ってる。
テレビには美男美女のカップルが微笑んでいる。付き合っていまーす。
 死んでしまえ。壊れてしまえ。みんなみんなみんなみんなみんなみんなみんな。なにもかも。
 だからAは狂喜した。そのスイッチの存在に陶酔した。
 全人類を消去いたします。
 押すことにためらいはない。
 ここ数十年浮かべたことのない満面の笑みでボタンに手をかけた。
 さようなら、このくそったれのクソだまりの世界さま。
 カチリ。
 「局長、関東地方のN地区で例のスイッチが起動しました」
「そうか」
「これでまた過激な思想を持つクズ、、失礼しました、方を排除できましたね」
「ああ。あとは遺体回収班に任せよう」
「はい。、、、あ、今度は関西地方で起動しました。地区はCです」
世界が終わり、平和に続く
