ふたりの絆⑩

蛍見物とカツ丼(後半)

ヒカルはアカリとデートするとき、必ず行くところがあった。

ひとつは本巣の真正という場所にある洋菓子屋である。

初めて連れて行った時から、すっかり気に入ってしまったのだ。

「ヒカル、またあのケーキ屋さんに行こう。」

毎回違う洋菓子を注文するアカリである。

「全部食べてやるぞ。」

そう話していたアカリだった。

アカリが岐阜にいたら、その夢は実現していたことだろう。

その代わり、体型も変わっていたと思うヒカルであった。

もうひとつは、同じ本巣にある大型ショッピングモールセンターだった。

美味しい物はたくさんあるし、商品を見て廻るのも楽しい場所である。

2人でゆっくりするのには申し分ない所だ。

ただし、ヒカルの地元に近い為、知り合いに出くわすことがあるのが欠点だ。

ヒカルがアカリにプレゼントしたのもこの店だった。

2人で貴金属売り場を見ている時に

「ヒカル、このペンダント綺麗だよ。」

ガラスケースの中に飾られたペンダントを指で示したアカリだ。

「かわいいね、アカリならきっと似合うね。」

そう答えながらも、値段のチェックをしたヒカルである。

値段は想像にお任せするとして、この時点ではまだ買うまでに至らなかった。

(こっそり買ってプレゼントしよう)

そう決めていたヒカルであった。

後日、ヒカルは1人でそのペンダントを買いに行った。

店員さんが、かわいらしいケースに入れてくれた。

「彼女へのプレゼントですか?」

「はい、そうです。」

素直に答えるヒカルだった。

「きっと、喜んでくれますよ。頑張ってください。」

応援までしてくれる優しい店員さんだった。

それから1週間後、アカリとデートをした。

ヒカルは車の中でアカリに手渡した。

「はい、これアカリに。」

「何これ?」

少し戸惑った表情でみていた。

「開けてごらん。」

「これって、あの時見ていた物じゃない・・・いいの?こんなに高いものを。」

喜びをおさえられず、興奮しているアカリの姿がみえる。

「ヒカルありがとう、大切にするね。」

アカリは、その後のデートからヒカルがプレゼントしたペンダントを首に掛けてくれたのだ。

                                  →「負けず嫌いなアカリ」をお楽しみに。  12/29更新

                                  ホタル:ヒカルはアカリの喜ぶことをするのが本当にうまいですね。
                                      世の男性がみんなヒカルのような人間がいたのなら、世の女性は
                                      みんな虜になってしまうかもしれません(笑)。

                                   -10-

ふたりの絆⑩

ふたりの絆⑩

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-29

CC BY-NC-ND
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