第二話 接触
ヒロインと、新たな担任が接触する「隣人」第二話です。
放課後。
薫と帰る約束をしているわけではないが、日課になっているので、薫の部活の練習を見学している。
見学も限界があって、だんだん飽きてくるので好きな推理小説をカバンから取り出し、読み始めた。
大好きなうみねこホームズシリーズを読みふけりながら、軽く眉間にしわを寄せながら読みふける希美子。
「なに…読んでるの?」
遠慮がちに声をかけてきたのは今日からの担任、隆乃介だった。
「あ、柴田先生…かお、じゃなくって草間さんと一緒に帰るのが日課になってるので、暇つぶしに本読んでます。」
「それ、うみねこホームズ?面白いよね、それって。」
「先生も読んでるんですか?」
「うん、推理小説結構好きでトリックとか見破ったりして」
「そうそうっ!当たってた時のあの快感…たまんないですよね~」
ぁ、いけない、先生だった…もうちょっと真面目に接しないと…。
「す、すいません、なんか変な話しちゃいましたよね…先生なのに失礼なことして…」
「あぁ、気にしないで、そんなこと…正直担任になるの初めてでどうやって接しようかと考えてるし…
って佐伯さんにこんなこと言う俺も変だよね…。」
「あぁ、そんなそんな…」
あぁ、まずい…なんか変な空気になっちゃったよ…どうしよう…。
その気まずい空気を打ち破ったのは隆乃介のほうからだった。
「佐伯さんは、部活とかやらないの?」
「ぇ、あぁ…なんかやりたいものが特に見つからなくて…それより本をじっくり読んでた方が好きなんです。」
「そうなんだ。」
「他の先生からは『部活に入れ』って結構言われてますけど」
苦笑いをしてみせる希美子。
隆乃介も笑みを浮かべながら
「まぁ、俺はそんなこと言わないから安心して。学生時代は好きなことを好きなだけやれる期間だからさ。」
そんな優しく言ってくれる先生を希美子は初めて遭遇した。
この勢いで、思い切って隆乃介に聞いてみた。
「柴田先生…」
「ん?」
「私たちって、どこかで会った事、ありませんか?」
「え…それって…」
「あ、いやぁ…何となくそんな気がしただけですっ!!なければ良いんですっ!!」
と顔がなぜか真っ赤にして言い、頭を振ろうとする希美子に
「…あるよ…」
隆乃介は答えた。
「え…」
「だって君の家の隣に住んでるから…」
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「俺だって驚いたよ…見たことある子がいるなーと思って住所録見たらうちのマンションの隣の号室だったから…」
希美子は驚きを隠せ無かった。
第二話 接触
新たな担任、柴田隆乃介。
実はヒロイン希美子のお隣に住む「隣人」だった。
今後の展開は一体どうなるのか、さっぱり見えない…。
こうご期待です。