隣人 第一話

鮮明に残る夢…誰にでもありますよね?
この作品は夢がリンクする…をモチーフに作った第一話です。

まずはリンクするヒロインとリンクする相手の登場から。

この後の展開にご期待ください。

「…!」
「あ…夢か…」

 寝汗をだらだら書いて佐伯希美子は目が覚めた。
ここのところ、同じような夢を見る。登場人物は見たことのない少年、洋館とも思える豪華な家に入り込んでいる少女時代の希美子。

そこで謎の少年と出会う…顔面に血をしたたらせながら

「来るなっ!こっちに来るなっ!!」

少年はそう言って希美子を拒む。夢の中の希美子自身もその光景に恐れ慄いている。

そして目が覚める…ここ一週間、この繰り返しだ。
「何だったんだろう…最近同じような夢を見る…なんか意味でもあるのかな…」

少し考えていると
「希美子ー!早くしないと遅刻するわよー!」
母の声だ。ふと時計を見ると8時5分前。

「げっ!ちちちちち遅刻じゃんー!!もぉーなんで起こしてくれなかったのよー!!!」
慌てて希美子は身支度を整え、トーストをかじりながら学校へと向かう。

 佐伯希美子(さえききみこ)17歳。高校二年生。
特に部活に入ってるわけでもなく、平凡な日々を送っている。趣味は読書。最近は推理小説がお気に入り。

「ギリギリセーフっ!」
野球のセーフのジェスチャーをしてふざけてたのは友人の草間薫。中学のころからの友達だ。
ソフトボール部に入ってるだけあってセーフのジェスチャーはなかなかキレがある。

「もう…人が一生懸命走ってきたのにふざけないでよぉ、薫~。」
「本当はアウトな時間だけど、職員会議が長引いてるからギリギリセーフなんだよん。」
ちょっと胸をなでおろす。

5分ほどして教頭先生が入ってきた。
「ほらー、席につけー。」
出席簿をバンバン叩きながら生徒たちを席に着かせるよう促す。
出席を取った後に、教頭が生徒全員にこんなことを言った。

「えぇー、今まで担任だった松岡先生が産休に入ったため、代理の担任の先生を紹介するぞー。柴田先生、入りたまえ。」
そう言われ、一人の男性教師が教室に入ってきた。
というか、松岡先生…妊娠してたの!?知らなかった…言ってくれればよかったのに。
「…柴田、隆乃介と言います…まだまだ新人の教師ですが皆さんの顔と名前をいち早くお、覚えて…ぇっと…とにかく頑張りますっ。」
先生、というより転校生みたいな自己紹介…相当緊張してるんだなと生徒一同は何となく感じとる者もいれば、
笑いをこらえる者や、可愛いという、女子もいる。

柴田隆乃介(しばたりゅうのすけ)、29歳。これまで非常勤教師として別の高校で社会の教師をしてきた。
スタイリッシュなメガネをかけたサラサラな髪の毛、でも清潔感を感じる、好青年といったところだ。

希美子は隆乃介を見た瞬間、
(あれ…なんか初めて会った気がしない…なんでだろう…どこかであったっけかな…)
そんな気持ちであった。複雑な顔をしていると薫が、
「希美子~~~~、もしかして…柴田先生みたいなの、タイプなのぉ~~~?」
と調子づき始めた。
「ちちち、違うって…ただ…初めて会った気がしないんだ…」
「デジャブ、ってやつ?それって運命じゃーん」
「草間!佐伯!そんなにおしゃべりがしたいなら廊下へ行ってもいいんだぞ?」
教頭に怒られた…私は悪くないのにぃ…薫がふざけるから…。

その光景に隆乃介も気づいて希美子の方を見る。
何となく驚いたような、そんな顔をする隆乃介。
希美子と目が合うと慌てて目を逸らす隆乃介。

「??」

でも確かに会った事ある気がする…気のせいじゃない気がする…そんな気がする…。
でも「どこかでお会いしましたよね?」なんて今日びナンパじゃないんだし、
ましてや先生だし………。
ないよね、ま、いっか。
希美子は考えるのをやめることにした。

隣人 第一話

まだ序盤の序盤なのでなんとも言えませんが、この後さまざまな展開が待ち受けています。
どんどん更新していくのでご期待ください。

隣人 第一話

眠りの中で見る夢…それは誰にでもあるもの、見るもの…。 もしもそれが他人とリンクしたら? 他人の過去とリンクしたら? 一体どうなる? 隣人 第一話 出会い編です。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青年向け
更新日
登録日
2012-04-27

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