彼ノ正義ハ誰ガ為ニ

君が行う全ての行為は、たった一つの目的のため。誰がなんと言おうとその決意は決して揺らがない。なぜならそれが、間違いであるはずが無いからだ。

飛び交う鉛、溢れ出る鮮血、漂う腐臭。地獄のような世界の中に、君はその白銀の翼を以って飛び込んでいく。

どうしてこんなにも強く願っているのに、誰一人君の味方にはなってくれないのだろう。君が間違っているというのなら、君を信じた私はどうすればいいのだろう...


君が行う全ての行為は、単なる理想にすぎないかもしれない。何時なんどきであろうと君は誹謗の雨の中にいる。それでも君は諦めることをしなかったね。

静かな街並み、子供の笑顔、鳥たちの鳴き声。平和ボケした平穏な世界から、私は一人孤独に真の平穏を願い続ける。

どうしてこんなにも強く願っているのに、なぜ世界から争いは無くならないのだろうか。自分たちさえ平穏でいれば、他はどうであろうと構わないというのだろうか。


誰かが言った。「世界は平和になるべきだ」って。その誰かは世界の平和のために何をしているのだろうか。
誰かが言った。「争いをしてはいけない」って。その誰かは争いを止めるために何をしているというのだろうか。
口先だけの平和に酔いしれている私たちは、決して正しいはずがない。
君は言った。「世界を変える」って。その変わった世界に君は存在していられるだろうか。

君が行う全て行為は、平和のため、争いをなくすため、そして、自分自身を肯定する為。君はその命がなくなろうと、きっとどこまでも仮想の平和と戦い続ける。君はもう私のところへは帰ってきてくれないのだろうか。


世界は変わった。君が言った理想のように全部が変わったわけじゃないけれど、それでも世界は変わらざるを得なかった。
変わり果てた君の姿はどこか清々しくて、思っていたより普通に見えるけれど、それでもこの世界の誰よりも優しい人に見えた。

彼ノ正義ハ誰ガ為ニ

彼ノ正義ハ誰ガ為ニ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-28

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