ミラージュタウン
街を作りたいなと思いまして、ツイッターで募集している企画です。
・名前
・この街であなたはどういう人なのか
・何をしているのか
・職業(現実的なものから、非現実なものまでなんでもあり)
・性別
これが基本で、DMでもリプでもいいので送ってくださればここに書きたいと思います。
ここは本当のあなたが暮らす街
ここはミラージュタウン。
そこにいるのに触れられない、まるで煙のようにユラユラと存在するあなたの中のもう一人の自分が住んでいる街。
幾度となくあり続ける人生の岐路。小さい選択から大きな選択まで無限にあります。
その中でいつの間にか隔離されていった物語の主人公であるあなたは、この街にちゃんといるのです。
何もかもが揃っている街です。
あなたの望むものがそこにあります。ほら、目を閉じて。過去のあなたを想像してください。
いつかを境に、あなたはこう考えました。
「素の自分は見せてはいけない。ここで見せるべきじゃない。じゃあ、どうすればいいんだ…そうだ。もう一人架空の自分を作ろう。そして、出せるときに本当の自分をだそう」
しかしどうでしょう。本当の自分はいつも心に眠ったまま。いつの間にか架空のあなたが本当のあなたになり、本当のあなたが架空のあなたになりつつありませんか?
そうなったときのためにある街です。
目を覚まさせてあげてください。本当の自分は、いつもあなたのそばにいます。
微睡坊主
僕はこの街で物書きをしている。
書いているのは「そうなっていたかもしれない物語」だ。
それというのも僕は後悔が多くてね。人生の岐路で、選んだ道に対してよく後悔していた。
「もしあそこで違う方を選んでいれば、こんなことにはならなかったかもしれない」
「もしあそこで違う方を選んでいれば、成功していたはずだ」
とかね。
そういうのばっかりで嫌になった僕は、ついに進むことをやめてしまったんだ。そして気がついたらこの街にいた。
ミラージュタウン。ここはとにかく自由な場所なんだ。望むものはなんだって手に入る。例えばお腹が空いたとしよう。机に向かって手をかざせば、僕が今食べたい唐揚げが、僕の思い描いたサイズで、さらには思い描いた皿にのって出てくる。もっと大袈裟なこともできる。空が飛びたい。背中から羽が生える。家が欲しい。空いた敷地に家が建つ。恋人が欲しい。臨んだシチュエーションで理想の恋人が目の前に現れる。
現実とは大違いだった。
けどそんな贅沢な街でも、すぐに飽きてしまう。結局はやり尽くしてしまって、それが当たり前になるんだ。そして辿り着いたのが今の物書きさ。
街を少し出れば森がある。とても穏やかな場所だ。淡い太陽光が木々の隙間から地面を照らして、なんとも言えない神秘的な空間になっている。さらに奥に進むと、僕の秘密基地がある。森の一角にある半径20m程の円でくり抜かれた空間。そこにあるのはハンモックと小さな机とペンと紙。ここでいつも書いている。
「今日はどんな物語を書こうかな」
いつものようにハンモックに揺られ揺られながら、僕は呟いた。
とう子
私がここに存在することになったのは、大きな選択を迫られたから。いつの話だったかな。詳しくは覚えてないし、大きな選択と言っても、他の人からしたら大したことじゃないかもしれない。
私は小説と音楽を天秤にかけ、小説をとった。
その日から私は小説9.9音楽0.1の割合で生きてきた。
冒頭でも書いたが、私にとってこの判断は本当に苦痛なもので、いうならば、大好きなお菓子をもらう代わりに、大好きなおもちゃを取り上げられるようなものだった。
でもやはり伸びは飛躍できだった。どちらも五分五分に得意だったのに、いつの間にか差は開いていった。
勘違いして欲しくないのは、この選択が苦痛だっただけで、間違いではないということ。大好きな小説をたくさん書けるのだから私は十分に満足している。
でもたまに考えてしまうだけ。もしも音楽を選んでいたらもっとよかったんじゃないかって。
それはもう、どうしようもない後悔だと思う。ミラージュタウンじゃなくて、現実にいる音楽を選んだ私も、同じようなことを考えているんじゃないかな。だって、違う私でも、私は、私だから。
ミラージュタウン
どこかでお逢いしましたよね?