cheerful person.3

Cheerful person.2の続き。

2日目

俺は結局、秋風に連絡を入れなかった。途中、どうしよっかなーと迷ったが、最後まで電話もメールもしなかった。
そして、現在はその翌日の高校生活2日目の朝の教室にいるわけだが・・・
「ちょっと、シユ君!!なんで昨日ケータイに掛けなかったの!?」
これである。まあ、分かってたよ。なんとなく分かってたけども。
「いや、忘れてて。ごめんね、秋風さん。」
「忘れてたじゃないよー!私、買い物したりご飯食べたりお風呂入ったりまったりしながら待ってたんだよ!!」
けっこう暇つぶしてんじゃねーか。
俺は、昨日からこうなることは予測していた。なので別に糾弾されることは特別つらいということはない。
しかし、全く違う理由でつらいことがある。それは・・・
「なんだ?あいつら、もうデキてんのか?」「なんだよ。こんな朝っぱらから痴話喧嘩なんかしやがって。」「爆ぜろ、リア充めが・・・。」
周りの目線である。もう、イタイ。今までこんな目線で見られなかったため、耐性もついてない。その分、イタイ。
しかし、状況だけ見れば、そう思うのも無理はない。なにせ今話している相手は、今この学年で1番の有名人なのだ。多分。
しかも、外見は非常にかわいい。ポニーテールで束ねた綺麗な髪。整った顔立ち。全体的にスラっとしているスレンダーな体型。
今も、なんでこんな娘が自分なんかにかまってくるのかは分からない。しかし、そんなこちらの心情など関係ないと言わんばかりに彼女はグイグイ
話してくる。
「あと、さん付けはなんか堅くてヤダ。華でいいよ。」
「いや・・・昨日会ったばかりの人に名前呼びはちょっとね・・・。」
「なんで?私たち友達じゃん。」
「さすがにもう友達はないんじゃない?早いよ。」
「シユ君、明らかに友達いないのになんでそんなこと分かるの?」
「君ホントなんで俺に話しかけたの!?」
嫌味言うためか。そうなのか!!
と、気がつけば割と素がでていた。秋風も一瞬キョトンとして、
「シユ君、やっぱりおもしろいね。」
クスクスと笑った。
昨日、彼女の笑顔を見たときと同じように、ドキッとしてしまう。どうも、俺は彼女の笑顔に弱いらしい。
予鈴が鳴る。そろそろ朝のSHLが始まるだろう。
「とにかく、私のことは華って呼んでね。」
じゃあね、と小さく手を振って秋風は自分の席に戻っていく。
彼女が席に戻ると、ふと気付いた。
自分が、彼女に友達だと言われて、嬉しいと思っていることに。
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放課後になり、クラスが浮き足立ち始めた。
そして、俺の予想が合っているのなら
「シユくーん。お話しよー。」
ほら、来たよ。そしてクラス中からの視線(主に男子の)がイタイ。
「秋風さん、他の友達のところはいいの?」
さりげなく、「他の」を付けることで、自分も彼女の友達かどうかを確認してみる。ここで、普通にスルーしてくれれば嬉しいのだが、彼女は何やら
むー、と言いながら可愛らしく頬を膨らませている。
え・・・友達じゃないの?と思っていると、
「名前。さん付けはヤダって言ったでしょ?」
と、言ってきた。
正直、今まで忘れていた。友達だと言われたときの嬉しさを噛みしめるのに夢中だった。
「あ・・・ごめん。えっと・・・秋風?」
「は・な!」
なん・・・だと・・・。秋風というだけでも勇気を使ったのに、さらに上を所望と申すか!!
「さすがにハードルが高いよ。悪いけど、しばらくは秋風で我慢して。」
「しばらくってどれ位?」
少し不貞腐れたように聞いてくる。その姿も、すこしかわいいなと思ってしまった。
「しばらくはしばらく。俺が秋風に慣れるまでかな?」
「シユ君、実はシユ君の中で私って珍獣かなにかの部類で記憶されてるんじゃない?」
「かもね。」
アハハーと笑いながら、そう返答する。いつもこっちが受けだったので、今回は攻撃的な位置に回ってみる。
「お。シユ君言うようになってきたね。もういいんじゃない。華って呼んでも。」
まだ早いよ、と返しながら、お互いの今日の出来事を話しあった。

cheerful person.3

3まできました。まだ続きます。
なんか自分でも終わる気がしない(笑)

cheerful person.3

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-26

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