【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 2(2300字)

次に目を覚ましたときには、病院のベッドの上だった。
ぼんやりする意識、感覚の薄い体。
「君は車に乗っていて、事故に巻き込まれた。」
と医者は言った。
「大変な怪我だったが、命に別状は無い。」
とも。
しかし、父親と母親のことを訪ねると
「別の部屋で治療を受けている。」
とだけ答え、
今どんな状態なのか、いつ会えるのかについて聞いても黙ってうつむくだけだっだ。

何日かするとだいぶ意識もはっきりしてきた。
それを見計らっていたように警察の人間が現れ、
父親と母親が死んでしまったことを知らされた。
親戚に連絡をしたので、すぐに迎えが来るから安心しろとも。
マミは
「母親の両親は死に、兄弟はいない。父親の親戚とは縁が切れていて一度も会ったことがない。
  だから親戚はいない。」
と言ったが、そんなことは無い、と取り合ってくれなかった。

そのころになると、体のほとんどの感覚も取り戻したが、
右足だけは自分のものでないように感覚がなく、全く動かなかった。
それを感じるのを待っていたように医者がやってきて、
命に別状はないが、事故の衝撃で右足が動かなくなっている。
リハビリをすれば良くなるが、元のようには動けないかもしれないと知らされた。

やがて「親戚」が現れ、マミを車いすに乗せて両親の葬式を行った。
見たことのない親戚が、たんたんと葬式を取り進める。
何かの冗談のようだった。
マミは母親の母親、つまりは祖母の葬式にしか出たことが無かったが、全く雰囲気が違った。
誰も悲しんでいないし、お互いに話もしない。
父親や母親には葬式に来てくれるような友達もいなかったのだろうか。

火葬場の廊下で、親戚の1人が電話で遺産の取り分がどうとか、
子供がいるがどうとでもなるとか言うのを聞いた時には、
それがあまりにできすぎていて、全部が全部作りものなのではないかと思えた。

式が終わったあとで、親戚の中で一番えらそうな男が、
これからマミが、その男の家で暮らすことになること。
これからの生活には何の心配もいらないことを猫なで声でしゃべった。
死にたいと思った。

翌日、偉そうな男の黒塗りの車にマミが積み込まれるまさにその時に、
見慣れた車が駐車場に入ってきた。
父親が昔乗っていたボロい国産車だった。
が、そこから降りてきたのは当たり前だが、父親ではなかった。
「私はこういうものです。」
偉そう男は名刺を見、露骨に嫌な顔をした。
「社長にもしものことがあった時の処理について一任されております。」
父親より少し若い男は淡々としゃべった。

その日の午後、親戚がまた集まり、若い男と話しあった。
話あうと言うよりは、親戚がどなり、声を荒げるのを、
若い男が聞いてぽつぽつ返答していた。
マミは若い男の命令でその場にいさせられた。

話は次の日までもつれこんだ。
親戚はヤクザを呼んできた。
マミにはそうとしか思えなかったが、若い男・・夏木は意見を変えなかった。
夏木はマミの父親の遺言により、
マミの両親の財産の管理をしていくことと、マミの面倒を見ることを、
マミが20歳になるまで続けると言った。

ヤクザは1時間ほど書類をひっくり返したり、夏木と何か話あったりしていたが、
やがてニヤつき、親戚に、夏木の言っていることは正しいのであきらめるよう伝えた。

そしてマミはボロい国産車に積み込まれた。


マミは夢から覚めた。
はちベエのいる、あの白い部屋だった。

「はちベエ・・」
「なんだい。」
「知っていたら教えて。私、夢を見たの。事故で両親が死ぬ夢。」
「うん。」
「今まで何度も見た夢・・だけど、今日見た夢では私はレスキュー隊に助けられるの。」
「うん。」
「私はキュウべえと契約して助けられたはずなのに・・でも、今日見た夢も夢とは思えないの。
  『これは本当にあった事だ』って心のどこかで解ってる。」
「そっか・・」
「私に一体何が起こったの?」
「・・・・少し・・いや、かなりややこしい話になるけど、ボクにできる限りは説明しようと思う。」
「お願い。」
「ボクはマミが最初に目覚めた時に『さっきまでマミがいた世界から見て、ここは死後の世界』と言った。
  それは覚えてる?」
「ええ。」
「それは間違いないけど、マミには元々いた世界がある。その世界から見れば、マミはまだ生きているんだ。」
「え?」
「さっきまでマミがいた世界、キュウべえがいる世界、魔法少女がいる世界。
  それを僕は『第9世界』と呼んでいる。
  それに対してマミが元々いた世界、ボクたちが今いる世界を『第8世界』と呼んでいる。
  君が今見た夢は・・夢ではなく、第8世界でのマミの記憶だと思う。」
「そう・・なの?」
「ボクを作った存在は・・君たちにとって最も近い概念は、宇宙人だろう。
  その宇宙人はある目的を達成するために第9世界を創造して、
  第8世界の人間を、第9世界に送り込んでいる。」
「う、宇宙人?」
「ここから1200万光年離れた星にいる。」
「・・ここってもしかして、ほんとうに宇宙船なの?」
「そうだよ。」
「・・ある目的って?」
「・・それは言えない。」
「なぜ教えてくれないの。」
「・・正確には、今の君には言えないんだ。すまない。」
「・・・・」
「悪く思わないでくれ。時期がくれば、君は元いた世界に戻れる。
  そうすれば、この船での出来事も、第9世界での出来事も全て忘れることになる。」
「・・あなた、一体・・」
「・・ボクはハチべえ。辺境生物保護団体LIBの活動端末だ。」

【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 2(2300字)

【二次創作】【魔法少女まどかマギカ】まどかを救うことにした 2(2300字)

マミは事故で家族を失い、体には障害が残った。 そして2つの世界があることを知る。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-26

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work