ふたりの絆⑦

第4章 突然の別れ

「どうした、何かあったのか?」

心配顔で聞くヒカルに、アカリが重そうな口を開いて言った。

「ヒカル、ごめんね・・・私、会社を辞めることになったの。」

半分泣きそうな顔で話すアカリだった。

「ちょっと待った、今辞めるって言ったのか?」

驚きを隠せないヒカルである。

少し間をおいてからヒカルが口を開いた。

「いつ辞めるんだい?」

とヒカルはアカリに質問した。

「明日までなの。」

ヒカルは、アカリが会社を辞めることに対しては何も言うつもりはなかった。

仕事に対して、合う合わないは誰にでもあることだからだ。

他人の人生に口を出すのは嫌いなヒカルだった。

「これからどうするんだ?」

ヒカルは、アカリと離れるのが怖かった。

なぜならアカリのことが好きになっていたのだ。

「とりあえず、8月末までは岐阜のアパートにいてその後、1度徳島の実家に戻る予定なの。」

そう教えてくれたアカリだった。

このとき、初めてアカリの夢を聞いたヒカルであった。

「私ね、小さい頃の夢でアニメの声優になりたいの・・・そのために来年から大阪の専門学校に通おうと思ってる。」

そういうと、アカリは自分のスマートフォンを取り出し、大学時代に友達と撮ったアニメのコスプレ写真を見せてくれた。

そこには、ヒカルの知らないアカリがいた。

「かわいいね。」

そう答えるしかなかったのが正直な気持ちであった。

「アカリ、どうするにしても連絡だけはくれよな。」

ヒカルはアカリにお願いした。

「当たり前でしょ、2人の絆は深いんだから。」

そう笑いながら答えてくれたアカリである。

その顔は、これから始まる夢を楽しみにしているようだった。

6月のある日、アカリは会社を辞めていった。

その後、2人はメールを通して絆を繋いでいった。

                           →「ホタルとヒカル」をお楽しみに。  12/25更新

                            ホタル:いきなりのアカリからの重い宣告でした。
                                これから2人の幸せな物語が始まると思っていたら
                                やはり、人生そう簡単にはいかないんですね。

                        -7-

ふたりの絆⑦

ふたりの絆⑦

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-25

CC BY-NC-ND
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